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税  務

クラウドファンディングの税務

税経管理第6部 課長 角田 陵輔

クラウドファンディングについてご紹介いたします。クラウドファンディングとは、crowd(群衆、大衆)とfunding(資金、出資)をつなぎ合わせた言葉です。その言葉通り不特定多数の大勢の人から少しずつ資金を集める仕組みのことを言います。

<クラウドファンディングの仕組み>
実施者がプロジェクトページを事業者のプラットフォーム(MakuakeやREADYFOR等)上に立ち上げます。それに対して支援者がそのプラットフォーム上の応援したいプロジェクトに支援を行います。

<クラウドファンディングの方式>
クラウドファンディングには2つの募集方式があります。
All or Nothing方式
募集期間が終了するまでに目標金額を達成した場合に限り、集まった支援金を受け取れる方式。
All in 方式
1円以上の支援があった時点で達成したと取り扱われて、募集期間終了までに集まった支援金を受け取れる方式。
<クラウドファンディングのタイプ>
クラウドファンディングには資金を集める目的やリターンの種類に応じて3つのタイプがあります。
購入型クラウドファンディング
支援者が金銭以外のものやサービスなどのリターンを受け取れる。
投資型クラウドファンディング
支援者がプラットフォーム上の実施者の株式を購入したり、資金を貸したりした見返りに金銭的リターンである分配金や利息、株式を受け取れる。
寄附型クラウドファンディング
支援者が見返りを求めないものが特徴。被災地の支援や社会的弱者のサポートなど、社会貢献性の高いプロジェクトで資金を集める場合に利用される。
<クラウドファンディングのメリット・デメリット> ※実施者の場合
メリット資金調達の可能性の拡大、無料のテストマーケティング
デメリットコストや手間がかかる。やり直しがきかない。
<クラウドファンディングの会計・税務> ※実施者の場合
購入型クラウドファンディングの場合

調達した資金は支援者へリターンという形で提供するので、売買契約に基づいて行われる商い取引と同じと考えられます。

したがって、受け取った資金は法人税・所得税の課税対象となり、リターンとして提供する商品やサービスの原価や発送等にかかった費用は損金・必要経費として認識されます。

また、支援金の受取は原則として消費税の課税取引に該当します。

・法人

通常の売買取引と同様の会計処理ですが、クラウドファンディングでは商品・サービスの提供前に代金を受け取りますので、「予約販売」に該当します。

予約販売では支援金を受け取った時点では「前受金」として処理し、その後リターンとして商品の引き渡しやサービスの提供を終えた時点で「売上」として計上します。

また、非営利型法人の場合は、収益事業に該当しなければ法人税は課税されません。

・個人
① プロジェクトの内容が事業所得の起因となる場合
通常の事業所得の計算と同じです。総収入金額は支援金の総額
総収入金額 - 必要経費 = 事業所得
② プロジェクトの内容が事業所得の起因とならない場合
雑所得として、所得税(住民税)が課税されます。
③ 実施者が事業を行っていない場合
雑所得として、所得税(住民税)が課税されます。

クラウドファンディング事業者の審査を受ける必要はありますが、銀行以外の資金調達手段として検討してみてはいかがでしょうか。


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