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税  務

「セルフメディケーション税制の改正」について

税経管理第8部 部長 小島政文

1.概 要 

セルフメディケーション税制とは、予防接種など健康の維持増進及び疾病の予防として一定の取組を行う者が、いわゆるスイッチOTC薬(医師によって処方される医薬品からドラッグストアで購入できるOTC医薬品に転用された医薬品)の購入費用につき年間12,000円を超えて支払った場合には、その購入費用(年間10万円を限度)のうち12,000円を超える額を所得控除(控除限度額88,000円)できる制度です。


2.改正のポイント

セルフメディケーション税制の適用期間が5年延長されます
この税制は平成29年1月1日から令和3年12月31日までの時限措置でしたが、今回の改正で5年間延長され令和8年12月31日までとされました。
対象となる医薬品について一定の見直しが行われます
現行は、スイッチOTC医薬品が全て対象で、そうでないものは全て対象外でした。スイッチOTC医薬品とは、医療用の医薬品として用いられた成分が、OTC医薬品(いわゆる市販薬)に転換、スイッチされたものです。イブプロフェンなどが代表になりますが、鎮痛剤、総合感冒剤、胃腸薬、アレルギー用の薬など、幅広いものがスイッチOTC医薬品とされています。しかし、その中でも効果が低いと認められるものについては除外されることになりました。非スイッチOTC医薬品について、効果が著しく高いと認められるものについてはセルフメディケーション税制の対象にすることになりました。
セルフメディケーション税制の適用を受けるための要件が見直され、申告手続きが簡素化されます
申告手続きの簡素化について、改正前は「健康診査等一定の取組をおこなっていることを明らかにする書類の添付又は提示が必要」でしたが、こちらが不要になりました。 
ただし、税務署長から要請があった場合には、提示又は提出しなければならないということですので、今後も自分が健康に気を使っているということを明らかにする書類というのは持っていなければならないということになります。
適用時期
対象となる医薬品の見直しは令和4年分以後の所得税について適用となります。
申告手続きの簡素化は令和3年分以後の確定申告書を令和4年1月1日以後に提出する場合について適用となります。
※改正概要
【改正前】 【改正後】
適用期限 令和3年12月31日 令和8年12月31日
対象とな
る医薬品
スイッチ
OTC医薬品
全て対象 療養の給付に要する費用の適正化の効果が低いと認められるものを除外
非スイッチ
OTC医薬品
全て対象 療養の給付に要する費用の適正化の効果が著しく高いと認められるものを対象に加える
申告手続きの簡素化 健康診査等一定の取組を行っていることを明らかにする書類の確定申告書への添付又は提出の際の提示が必要 添付又は提示が不要(ただし税務署長から請求があった場合は提示又は提出しなければならない)

3.留意点

セルフメディケーション税制は医療費控除の特例であり、通常の医療費控除との選択適用となりますので、いずれか一方を選択して適用することになります。したがって、セルフメディケーション税制の適用を受けることを選択した者は通常の医療費控除を受けることができず、通常の医療費控除を受けることを選択した者はセルフメディケーション税制の適用を受けることはできません。

疑問点や不明点、ご質問等ございましたら各担当者により対応致します。





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