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約束手形 2026年めどに廃止か

税経管理第3部 部長 夏目

約束手形 26年めどに廃止 産業界に要請へ 政府方針」というタイトルで、2月にYahooニュースから配信されていました。

政府が企業間の決済で使われる「」の約束手形について、2026年をめどに事実上廃止するよう産業界に求める方針を固めたようです。


経済産業省で公開されている「約束手形をはじめとする支払い条件の改善に向けた検討会」報告書より、一部抜粋して紹介します。


・約束手形の現状

資金調達手段が多様化したこと、インターネットバンキングが普及したことと軌を一にして支払手形の発行残高は減少に転じています。

手形の利用については、業種によって特徴が見られ、卸小売、製造、建設業において多く用いられています。



・約束手形を用いた取引の問題点

現状、現金振込サイトが約50日に対し、約束手形は約100日と現金取引と比べ約2倍の長さ。また、割引料などを考慮すると、取引先企業に資金繰りを負担させるという弊害の伴う支払い手段であるとも言えます。

約束手形に関わる料金体系については、金融機関が設定する料金が振出人に有利に設定されています。アンケートにおいても、やめたくない理由として「費用負担が少額である」と回答しており、金融機関が設定する料金体系が、振出人によって約束手形が選択されつづける一因となっているようです。

また、紙を用いて行われるため、手形の振出人、受取人、金融機関それぞれにおいて紙幣と同等の管理が必要となり、その過程では様々なコストとリスクが存在します。

振出人の7割、受取人の9割が約束手形の利用を「やめたい」との意向。受取人がやめたい理由は、「不渡りのリスク」「費用負担」「管理が面倒」。やめられない理由は、「振り出し側の希望」が多いとのことです。


・約束手形に対する今後の方向性

前述のとおり、約束手形の利用を廃止していくべきで、支払いサイトを短くしていくためには約束手形よりも支払いサイトの短い決済手段(銀行振込)への切り替えが進められるべきです。発注企業の資金繰り負担などから直ちに切り替えができない場合であっても、少なくとも「紙」による決済をやめる観点から、電子的決済手段(電子記録債権等)への切り替えを進めるべきと言えます。


昨年、すでに「約束手形の支払期限60日に短縮方針」という報道がされています。約束手形を取り巻く状況は、大きく動き出しています。


★支払手形を退治せよ(一倉定)

社長の教祖と呼ばれた伝説のコンサルタント、一倉定氏の著書「一倉定の社長学 経営計画・資金運用 第二巻」のなかに、「支払手形を退治せよ」という内容が書かれています。経営のヒントになれば幸いです、簡略して紹介します。


・経験してからでは遅い

一倉定氏は、極端な話ですが、借金がいくらあろうと、会社はつぶれない。どれだけ赤字を計上しても会社はつぶれないと言っています。

会社をつぶすのは不渡手形しかないと。その恐ろしい不渡手形を出さない方法は、ずばり、支払手形を発行しないことであると。だから、借金をして、支払手形を減らすことは、会社を倒産の危機から遠ざけることであると力説します。


・支払手形をなくし、無借金経営を

あらゆる機会をとらえ、知恵を絞って支払手形を減らし、自社の安全を図ることこそ社長の大切な仕事の一つである。危機感が薄いのは、手形決済の安直さにある。そのため、これを決済する苦労も、倒産の危機も忘れられてしまうのである。今こそ、手形依存体質から脱却する経営を検討してみませんか。

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