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税  務

電子帳簿保存法の改正

税経管理第5部 部長 山内

 令和3年度の税制改正大綱が令和2年12月10日に公表され、電子帳簿等保存制度の見直しもその中に盛り込まれました。
 令和4年1月1日より施行予定の改正内容を一部抜粋してご紹介します。

1、税関係帳簿書類の電磁的記録等による保存制度の見直し
① 承認制度の廃止
② 正規の簿記の原則に従って作成される国税関係帳簿書類で、自己が一貫して電子計算機を使用して作成する場合には、次に掲げる3つの要件に従って、その国税関係帳簿書類に係る電磁的記録の保存を行うことができることとする。
イ 電子計算機処理システムの概要書その他一定の書類を備え付ける
ロ コンピュータ一式及びプリンタ並びにこれらの操作説明書等を備え付け、ディスプレイの画面等に、整然とした形式及び明瞭な状態で、速やかに出力することができること。
ハ 国税庁等の当該職員の質問検査権に基づくその国税関係帳簿書類に係る電磁的記録のダウンロードの求めがある場合には、これに応じる
③ 電磁的記録に記録された事項に関し所得税、法人税又は消費税に係る修正申告又は更正があった場合の過少申告加算税は、通常課される過少申告加算税の額から当該申告漏れに係る所得税、法人税又は消費税の5%に相当する金額を控除した金額とする。

2、スキャナ保存制度の見直し
① 承認制度の廃止
② タイムスタンプ要件について、付与期間を記録事項の入力期間(最長約2月以内)と同様とするとともに、受領者等がスキャナで読み取る際に行う国税関係書類への自署を不要とするほか、電磁的記録について訂正又は削除を行った事実及び内容を確認することができるシステムにおいて、その電磁的記録の保存を行うことをもって、タイムスタンプの付与に代えることができることとする。
③ 適正事務処理要件を廃止する。
④ 検索要件について、検索項目を取引等の年月日、取引金額及び取引先に限定するとともに、保存義務者が国税庁等の当該職員の質問検査権に基づく電磁的記録のダウンロードの求めに応じることとする場合にあっては、範囲指定及び項目を組み合わせて設定できる機能の確保を不要とする。

3、電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存制度についての見直し
① タイムスタンプ要件について、付与期間(現行:遅滞なく)を上記1、②の見直し後と同様の期間とする。
② 検索要件について、上記2、④と同様の措置を講ずることに加え、判定期間における売上高が1,000万円以下である保存義務者が上記2、④の求めに応じることとする場合にあっては、検索要件の全てを不要とする。

4、国税関係書類に係るスキャナ保存制度並びに申告所得税、法人税及び消費税における電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存制度について、次のとおり電磁的記録の適正な保存を担保するための措置を講ずる。
① スキャナ保存が行われた国税関係書類の保存義務者又は申告所得税、法人税及び消費税における電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存義務者のその電磁的記録に記録された事項に関し、隠蔽し、又は仮装された事実に基づき期限後申告若しくは修正申告又は更正若しくは決定等があった場合には、その記録された事項に関し生じた申告漏れ等に課される重加算税の額については、通常課される重加算税の額に当該申告漏れ等に係る本税の10%に相当する金額を加算した金額とする。
② スキャナ保存が行われた国税関係書類の電磁的記録並びに申告所得税及び法人税における電子取引の取引情報に係る電磁的記録について、次のとおりとする。
イ スキャナ保存が行われた国税関係書類の保存義務者は、上記2、②から④までの見直し後の要件を含めた保存要件を満たさない電磁的記録についても、保存しなければならないこととする。
ロ 申告所得税及び法人税における電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存義務者が行う当該電磁的記録の出力書面等の保存をもって当該電磁的記録に代えることができる措置は、廃止する。
ハ 上記2、②から④まで又は上記3、①及び②の見直し後の要件を含めた保存要件を満たさない電磁的記録については、国税関係書類等と扱わないこととするとともに、災害その他やむを得ない事情により、当該保存要件に従って当該電磁的記録の保存をすることができなかったことを証明した場合には、その事情が生じた日以後については、当該保存要件を不要とする。

 国税関係帳簿書類の電磁的記録等による保存制度と、国税関係書類に係るスキャナ保存制度の事前届け出の手続きが廃止されることとなります。
 このため、いつからでもこの制度の利用が開始できることとなり、利用はしやすくなりそうです。

   
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