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労務

年金資格期間の短縮について

税経管理第9部 小島

1概要

 これまでは、老齢年金を受け取るためには、保険料納付済期間(国民年金の保険料納付済期間や厚生年金保険、共済組合等の加入期間を含む)と国民年金の保険料免除期間などを合算した資格期間が原則として25年以上必要でした。

 しかし、平成29年8月1日からは、資格期間が10年以上あれば老齢年金を受け取ることができるようになった他、無年金者対策が施されています。

2詳細

(1) 資格期間が10年以上となれば年金を受け取れるようになりました。

「資格期間」とは

①国民年金の保険料を納めた期間や免除された期間。

②サラリーマンの期間(船員保険を含む厚生年金保険や共済組合等の加入期間)。

③年金制度に加入していなくても資格期間に加えることができる期間。

 この期間のことを、合算対象期間(カラ期間)といいます。これは、過去に国民年金に任意加入していなかった場合などでも、年金受け取りに必要な資格期間に含むことができる期間です。ただし、年金額の算定には反映されません。

 具体的には(イ)昭和61年3月以前に、サラリーマンの配偶者だった期間 (ロ)平成3年3月以前に学生だった期間 (ハ)海外に住んでいた期間 (ニ)脱退手当金の支給対象となった期間、などが合算対象期間(カラ期間)となり、これを資格期間にカウントすると、年金が受給できる可能性があります。

 上記①~③の期間を合計したものが「資格期間」となります。
資格期間が10年(120月)以上あると、年金を受け取ることができます。
年金の額は、納付した期間に応じて決まります。40年間保険料を納付された方は満額を受け取れますが、仮に10年間の納付では、受け取る年金は概ねその4分の1になります。

(2) 今から保険料を納めて年金額を増やすこともできます。

①60歳以上の方も国民年金に加入できます(任意加入制度)
 希望される方は、60歳から65歳までの5年間、国民年金保険料を納めることで65歳から受け取る老齢基礎年金の額を増やすことができます。
また、資格期間が10年に満たない方は、最長70歳まで国民年金に任意加入することで、資格期間が増え、年金を受け取れるようになります。

②過去5年間に納め忘れた保険料を納めることができます(後納制度)
 過去5年以内に国民年金保険料の納め忘れがある場合も、申し込みにより、保険料を納めることができます(平成30年9月まで)。保険料を納めることで、年金を受け取れるようになったり、年金額が増えたりします。

③専業主婦(主夫)の届け出漏れの期間の届け(特定期間該当届)
 例えば、会社員の夫が退職したときや、妻の年収が増えて夫の健康保険の被扶養者から外れたときなどには、国民年金を3号から1号に切替が必要です。
 過去に2年以上切替が遅れたことがある方は、切替が遅れた期間の記録が保険料未納期間になっています。
 「特定期間該当届」の手続きをすることで、年金を受け取れない事態を防止できるほか、最大で10年分の保険料を納め、受け取る年金を増やすことができます。
納付できる期間は平成30年3月までとなっています。

(3) 年金記録を確認することで、年金を受け取れる場合があります。

 持ち主のわからない年金記録(未統合記録)については、これまでにも「ねんきん特別便」や「ねんきん定期便」などにより、年金記録の確認がされてきました。しかし、持ち主が確認できない記録が今なお2000万件残っています。
特に、旧姓や読み間違えやすい名前、本来とは異なる生年月日や名前で届け出をされた可能性のある方は年金記録の再確認をすることが必須となります。
(「ねんきんネット」で簡単に確認することができます。)

 年金は私たちにとって、とても身近なものであるにもかかわらず、なかなか分かりづらくて難しそうなイメージがありますが、一度ご自分の年金を再確認されてみては如何でしょうか。

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