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住民税の変化に気がつきましたか?

千葉支部 部長 鈴木良美

2025年6月の住民税通知書を配布された経理担当の方から、『どうして住民税がこんなに増えたのか?』『従業員の方々にどう説明すればよいのか?』という問い合わせが多くありましたので、ご参考にしていただけますと有難いです。

<2025年6月住民税が突然増えた…?>

今年の6月のお給料明細を見てビックリされた方が多いのではないでしょう か?

収入は前年とほとんど同じなのになぜだろう?と疑問に思った方も多いと思います。まずは仕組みを確認してみましょう。

(住民税には法人が支払うものもありますが、今回は個人のみで考えます。)

住民税は、道府県民税と市町村民税と森林環境税の総称となります。そして所得に関係なく定額を負担する「均等割」と、所得に応じて負担する「所得割」の2種類が道府県民税と市長村民税のそれぞれにあります。各都道府県や市町村が各々の判断で税率を定め、納めるべき税率を決定しています。

前年の1月1日から12月31日までの所得をもとに定めた税率により算定され、特別徴収(会社天引き)の場合、6月から翌年5月までの毎月の給料から天引きされます。(ちなみに住民税の納付方法には、普通徴収という方法もありますが、こちらは主に自営業の方などが自身で納める方法になります)

<突然増えた理由とは…>

今年の6月のお給料明細を見てビックリされた方が多いのではないでしょう か?

まず増えた理由に、上記の仕組みの関係で2024年度に実施されていた定額減税が5月で終了した影響があります。定額減税は1人あたり1万円の税額控除でしたが、対象者は納税者本人には限らず、その人に扶養されている家族の人数×1万円の控除でした。配偶者と子2名のご家族であれば4万円が控除された金額を5月までの12ヵ月間で計算された金額が天引きされておりました。

この控除は、2024年6月から2025年5月までの徴収期間で計算されておりましたため、(住民税の徴収の仕組みにより毎年6月に新年度の住民税に切り替わるため)2025年6月に金額の変動が大きく生じることになりました。

また、前年より1万円以上増えている場合は各種控除の変化も影響している可能性もあります。例えば…

  • 扶養控除の変化:子供が特定扶養親族から一般扶養親族に変わった
  • 生命保険料控除:保険料の支払額が減った
  • 住宅ローン控除:控除期間の終了や借入残高の減少
  • 配偶者控除:配偶者の収入に変化があった
  • 医療費控除:家族全員の医療費に変化があった
  • ふるさと納税:ふるさと納税などの寄附金の合計額に変化があった

これらの扶養控除や所得控除の変化により各種控除が減り、対象の課税所得が結果的に増え、住民税額の増額に繋がります。

<住民税通知書について>

住民税通知書の正しい見方と確認のポイントとして、住民税の変動を正確に把握するには住民税決定通知書の確認が重要です。

確認すべき項目は、

  • 総所得金額:前年の収入から各種控除を差し引いた金額
  • 所得控除額:基礎控除、扶養控除、社会保険料控除などの合計額
  • 課税所得金額:総所得金額から所得控除額を差し引いた金額
  • 税額控除:「○○○」と記載事項があれば、適用されている証拠

<住民税負担を軽減する実践的な節税対策>

効果的な節税手法とは、

  • ふるさと納税の活用
  • iDeCo(個人型確定拠出年金)
  • 生命保険料控除の最大活用
  • 住宅ローン控除の適用

これらの対策を組み合わせる事で住民税負担の軽減につながります。

住民税は、冒頭でもお伝えした通り所得がなくても均等割額が発生したり、1月1日~12月31日分の住民税額を翌6月から翌々5月に徴収したりとやや複雑な税金ではあります。

一方、節税することも可能な税金ですので、気になることがございましたらお気軽にお問合せください。

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