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経 営

          
問 題 解 決 法

           不透明な時代の問題解決手法

                     税経管理第4部 部長 木樽康昌

 日本企業の業績は悪化を続けています。特に地方経済は悪いです。企業存続のた

めにまず業績悪化という根本的な問題を解決しなければならないのですが、施策も

とられておらず、問題を解決すべき人や部門がまともに機能していないことを実感

します。

 またお客様から問題を提起され、自分なりに考えてはみたものの、対処療法的な

考え方しか出てこなかったことが多くあります。もっと根本的な解決法はないもの

か、どういう考え方と方法で問題にあたったらよいのかと悩んでいたところ、大前

研一/齋藤顯一著「実戦!問題解決法」という本に出会いました。非常に明快かつ

論理的であり役立つことが非常に多いのでここに紹介し、エッセンスをまとめてみ

たいと思います。

問題解決とは?

「問題解決が目指すものは、問題の根本原因(本質的問題)を探し出し、それを正

す方法を考え出すことである。何のために問題解決をするのかという目的と達成す

べき目標を理解し、目標達成のための本質的問題を発見し、問題解決の施策を立案

し、進捗をモニターするというプロセスで行う。」          本文より


 まず、何のために問題解決をするのかという目的と達成すべき目標をよく理解す

ることからはじまります。目的と目標をはっきりさせないと問題の定義がぼけてし

まいます。次に目的や目標に対する問題を探っていくわけですが、前提として企業

を取り巻く環境や、今起こっている事実を理解することが重要になります。経済状

況や市場状況、競合の状況や自社の立場です。いろいろな情報を選択し、収集・分

析・要約し、「要は何が起こっているのか?」という形で把握します。ここで大き

な3つのクリアすべき課題があります。@どういう情報を集めるのか?Aその中か

らどういう発見をするのか?Bそれをどう要約するのか?です。非常に難しく高い

ハードルであるといえます。


 また本質的な問題を発見するにあたっての阻害要因として、思い込み、全体が見

えない、客観的になれないことがあげられています。逆に言えば、思い込みをなく

し全体を見るようにし、客観的になるようにすれば良いことになります。これは問

題発見のコツのようなものとして感じました。


問題解決のためのプロセス

@ 何のために問題解決をするのかという目的と達成すべき目標をよく理解する。

A 必要な情報を収集・分析・要約し、企業を取り巻く環境を理解する。(経済・

  市場・自社の位置づけ等)

B 問題を抽出し、問題解決の施策を立案する。

C 施策を施し進捗状況をチェックし、修正する。


 本質的な問題の発見は容易ではありませんが、発見できれば問題解決の60%は

達成できたと考えられると書かれています。

ロジカルシンキング=論理思考

「ロジカルシンキングの回路とは、物事を論理的に考える回路である。新しい問題、

前例のない問題に直面した時、答えを丸暗記しただけの知識は何の役にも立たない。

得られた情報を基に自分なりのアプローチで論理的に考え、答えを見つけて問題を

解決していかなければならない。」                 本文より


 問題解決にあたっての基本的な思考方法であるロジカルシンキング=論理思考は、

原則を使い論理的に答えを導き出す応用力ともいえます。日本の教育は、最初から

答えがあってその答えをいかに早く覚えるかということが重視され、応用力につい

ては二の次でした。よって社会人になってからも知識を使ってそれを応用し、型に

はまっていない問題を解決する能力が欧米に比べて低いといわれています。どんな

問題でもまず原則に戻り、論理的にアプローチを取り直して必ず答えにたどり着く

力。これこそが問題解決の基礎となる能力です。

 またリーダーの資質とは、このロジカルシンキングが重要であると書かれていま

す。リーダーとは、最初から答えを知っている必要はなく、答えに至るプロセスを

知っている人間がリーダーになる。ロジックを組んで周りの人たちにプロセスを説

明できる人間、アプローチを示せる人間でなければリーダーは務まらないと結んで

います。

プロブレム・ソルビング・アプローチ=問題解決法

「どのように問題を発見し、どのように設問し、どのように答えていくのか−この

解決策に至る道筋を見出すための技術がPSA(プロブレム・ソルビング・アプロ

ーチ=問題解決法)である。」                   本文より


日本の企業、特に製造部門ではQC(品質管理)・TQC(総合的品質管理)等、

品質改善運動や生産性改善手法がさかんに用いられました。バブル期以降は、品質

管理のみが先行して企業としての根本的な改善がなされず、進むべき方向を見失い

改善運動が形骸化していきました。しかし、ロジカルシンキングと統計手法を使い、

事実にもとづいて仮説をたて、実証するというアプローチは、まさしくこのPSA

そのものであったと書かれています。

 日本の企業は、@根本的な問題がどこにあるのか、ということを考える癖がない。

A古い仕事のやり方をそのまま延々と引き継いでいく風潮がある。B「このままい

ったらダメだな」と感じてはいるが、本当にそうなるかもしれないという恐怖感か

ら、口に出して言わない。C方向転換や改革に恐怖心を感じている。と問題点を指

摘し、「膠着状態から抜け出すためには、方向を転換する大きな戦略代替案を考え、

それを実行していくしか方法がない。その道筋を見出すためのPSAが極めて重要

になっている。」としています。


PSAの3つの原則

@ すべての問題は解決できると、という強い信念を持つ。

  問題解決はその人が持っている意欲と目線の高さに比例して可能になる。

 「しょうがない。」「打つ手がない。」は言ってはいけない。

A 常に「What,if・・・」と考える。

 「もし答えがあるとすれば、どういう範囲にあり、どういう感じなのか。」と

  常に考えてみる。

B 原因と現象を混同しない。

  一つの原因が現象としていろいろな形で問題として出てきているケースが多

  い。原因と現象をしっかりと区別して、根本的な原因をつぶすことが重要であ

  る。

 企業を取り巻く問題は多く、また解決は容易ではないと思います。ロジカルシン

キングを基に問題解決者として、常に学んで行きたいと思います。




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