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税 務

      災害等を受けたときの所得税の軽減措置

              税経管理第7部 部長  鈴木 正美

 最近、日本各地において集中豪雨等により大きな被害を被っている方

が、大勢いらっしゃいます。大変お気の毒な事ですが、このような場

合に所得税では、どのような救済措置が存在するか、簡潔にご紹介し

たいと思います。

 地震、火災、風水害等の災害により、住宅や家財などに損害が生じ

た場合には、確定申告で「所得税法」の「雑損控除」、または「災害減

免法」で定める「所得税の軽減免除」のうち、どちらか有利な方法を

選択することで、所得税の全部または一部を軽減することができます。

 この二つの方法には、以下のような違いがあります。


雑損控除

損失の原因(注1) 災害、盗難、横領
対象資産 生活に通常必要な資産
(棚卸資産、事業用固定資産、生
活に通常必要でない資産は除かれ
ます)(注2)
控除額の計算           次の@とAのうちいずれか多い方
@ 差引損失額−所得金額の10分
  の1(注3)
A 差引損失額のうち災害関連支
  出額−5万円(注4)
参考事項 @ 申告時に災害関連支出の領収
  書の添付若しくは提示が必要
A 3年間の繰越控除可

(注1)、損失の原因には、詐欺、脅迫は含まれません。

(注2)、生活に通常必要でない資産とは、別荘や競走馬、一個または

     一組の価額が30万円を超える貴金属、書画、骨董等をいい

     ます。ただし、これらの資産の損害額は、その年か翌年に譲

     渡所得があれば、その所得から控除出来ます。

(注3)、差引損失額は損害額より保険金で補填される金額を控除した

     もの。

(注4)、災害関連支出とは、災害により滅失した住宅、家財を除去す

     るための費用などです。


災害減免法

損失の原因 災害に限定されます
対象資産 住宅や家財。ただし、損害の額が
住宅や家財の2分の1以上である
ことが必要
所得税の軽減額 その年の所得金額  軽減額
500万円以下→  全額免除
500万円超
750万円以下→ 2分の1軽減
750万円超
1000万円以下→ 4分の1軽減
参考事項 損害を受けた年の所得金額が、
1000万円以下の人に限ります
「損失額の明細書」添付が必要

注、サラリ−マンの場合には、「源泉所得税の徴収猶予・還付申請書」

 を、給与の支払者を経由してその支払者の所在地の所轄税務署長に

 提出すると、源泉所得税の徴収猶予又は還付が受けられます。この

 場合、年末調整はされず、確定申告により所得税の清算をします。


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