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 幼なじみが、的確なリサーチと決断により異国の工場立ち上げに成功したのを見て、

大変うれしく思いました。ライバル会社からも役立つ情報を教えてもらえる、人を大

事にする友人の資質が光ります。


 北京も以前訪れたときとは大きく変わり、巨大なビルが8車線のメインストリート

に連なっています。1つ1つのビルが巨大です。故宮や万里の長城を見慣れて育った

民族の感覚なのでしょうか。

 国際会議は東洋人同士でも欧州人同士でも全て英語で、英語が公用語の地位を確保

したことを今更ながら感じました。アジアでは、日本、韓国を除き会計の世界、広く

は経済の世界では華僑が強く、台湾、香港、シンガポールはもちろんマレーシアのメ

ンバーも華僑でした。アジアで仕事するには華僑のネットワークは役立ちそうです。

華僑ネットワークや台湾企業の中国への巨額の直接投資を見ると、中台の直接的な戦

争はあり得ないと思えました。

 アジア各国の税務に関するセッションでは、日本以外のアジア各国のスピーカーは、

最初に外国企業が自国に進出するに当たっての、税務上の優遇制度を述べます。日本

のMRIメンバーの友人が、日本税制を紹介しましたが、進出企業への優遇税制はあ

まりありません。外国企業につき、欠損金の繰越が10年あること程度で後は金融上

の利息の補助ぐらいです。外国に対する優遇税制によるだけではありませんが、外資

の力で巨大なインフラを整備した中国の巧みさが際だちます。

 北京でも表通りを一歩はいると裏町は貧困が渦巻いています。共産主義でありなが

ら、貧富の差は激しいです。地方の農村部に行くと貧困はよりいっそうだそうです。

上海でも北京でも、政府高官はベンツに乗り豊かな生活をしているようです。大きな

問題をはらんでいます。


 上海、北京共に工場でもデパートでも、若い人がまじめに懸命に働いていました。

清々しい様子です。皆豊かさに向かって一生懸命です。高度成長期に突入する前の日

本の姿を彷彿させます。彼らが中国の躍進を根底で支えているのでしょう。

 都市と農村の落差、学歴と才覚によりますます開く貧富の差、官吏の腐敗、政治家

も指名で決まる民主主義でない体制等々の矛盾と問題を抱えながらも、ドラゴンは力

強く疾走します。

 ここしばらくは、中国から目が離せません。          2002.10.17



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