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11・12    −上海・北京の光と陰−

November・December 10月7日から1週間、中国を訪問し、上海の工場視察と北京で

のMRI(国際的な公認会計士グループ)会議に出席しました。


 上海の町は、15年前に訪れたときとは様変わりし、高層ビルの建ち並ぶ近代都市

に生まれ変わっていました。

 上海では日本の製造業の進出現場をリサーチしました。旭市生まれで、小・中・高

校と一緒だった友人が、P社上海工場の立ち上げから係わり、モデル工場と言われる

ほど成功しました。彼に工場の立地選定から本社の所在地の決定、合弁か単独か、工

場のマネジメント等レクチャーを受け、実際に工場を案内してもらいました。

 工場まで上海の中心部から南へ車で約40分、片道4車線の真っ直ぐな道路が碁盤

目に整備されつつあります。工場用地は広大です。今後大量の工場を受け入れる準備

ができています。以前は停電が結構あったそうですが、最近はインフラが整備され、

そういった問題は解消されたそうです。

 日本では労賃の安さが強調される中国ですが、地代も工場建設費も日本の数分の一

です。20代の若者が真剣に働いている様子を見ると、労務の質も高そうです。製作

機械設備は日本から持ってきたもので、この側面ではまだまだ日本にかなうものはな

いようです。製品組立システムは、トヨタの開発したカンバン方式をアレンジしたセ

ル方式のシステムで、製品種類や数量の変更をスムーズに行い人の無駄を排除してい

ます。良くできた仕組みなので、サービス業でもこの方式を応用できないかと思いま

した。

 工場建設に当たり、友人は中国進出企業10社程度をベンチマークし、長短を比較

しました。中国資本との合弁会社はほとんど配当の問題で中国側と意見が合わず、経

営もうまくいっていません。それを参考に、P社は単独資本で行くことを決定しまし

た。また、ほとんどの会社は北京政府とのロビー活動を考えて、本社を北京に置いて

いますが、先達の企業から、その有効性の疑わしいことを聴き、P社は友人の進言通

り上海に本社を置きました。工場のある上海に本社を置いたことにより、上海政府の

援助が手厚い等、結果として成功だったようです。中国は一つではなく、それぞれの

地域ごとにアメリカの州のようにある程度区分された自治があり、北京は北京、上海

は上海という気概を持っているようです。

 製造業は価格競争から、当分は中国での製造が前提になったなと思いました。

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