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税 務

        出向、転籍に伴う人件費


                   税経管理第5部 部長 林 克己

 最近のようにリストラがひんぱんに行われるようになると、それに伴って、

出向や転籍という事態もひんぱんに生じます。

 このようなことから、最近では税務調査においても、出向や転籍に伴う人

件費についても重点的な調査が行われるようになってきています。

 この点については法人税基本通達にかなり詳細に規定されていますので、

今回はそれを取り上げてみたいと思います。


1.出向と転籍の違い 

(1)出向とは  

 ある会社(例えば甲社)の従業員が、その会社を休職し、他の会社(乙社)

に勤務することをいいます。すなわち出向については、出向元である甲社と

の雇用契約は依然として継続しています。そして、出向先である乙社の指揮

命令を受けることになります。

(2)転籍とは

 その会社(甲社)を退職して、他の会社(例えば丙社)に就職することを

いいます。従いまして、甲社との関係は完全に遮断され、これに代わって丙

社との雇用関係が開始することになります。

2.出向、転籍に伴うそれぞれの税務問題

(1) 出向に伴う税務問題

・出向の場合には、出向元と出向先の双方において税務問題が生じる可能性

があります。出向者の給与が出向先で支給され、その負担も全て出向先がし

ている場合には問題はありません。ところが、法人の使用人が他の法人に出

向した場合において、その出向した使用人に対する給与を出向元法人が支給

することとしているため、出向先法人が自己の負担すべき給与に相当する金

額を出向元法人に支出した時は、当該給与負担金の額は、出向先法人におけ

るその出向者に対する給与として取り扱うものとします。(法基通9-2-33)。

(注)この取扱いは、出向先法人が実質的に給与負担金の性質を有する金額

を経営指導料等の名義で支出する場合にも適用があります。




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