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税 務


               伸びる会社の節税戦略 56

       −総務部門の節税 オーナーの節税対策(25)−

                            所長 木村哲三



 さて、今回のテーマは前回に引き続き、株式公開の手順です。前回は形式基準

のうち利益要件を取り上げました。今回は、資産要件、株式要件、監査要件、そ

の他の要件を取り上げます。



2 資産要件

 利益の次に重要な要件が、会社の資産内容です。これは、会社の純資産の額

が問われます。ここでの、純資産額は、貸借対照表の資本の部に特別法上の準備

金を加え、繰延資産を控除したものです。

 東京証券取引所の資産要件は、上場直近期末の連結純資産額が10億円以上

と定めています。

 店頭登録市場では、上場直近の連結・単体ともに純資産額は2億円以上とさ

れています。ただし、最近の店頭登録会社の平均純資産額は、2億円を相当額上

回っています。

                                                
        

3 株式要件

 株式要件とは、株式数、少数特定者持ち株比率、及び株主数の要件です。

 東京証券取引所の株式要件のうち、上場株式数は4000単位以上です。

 店頭登録の場合の株式数は、規定はありません。

 次に、少数特定者の持ち株比率も規制があります。ここで、少数特定者の持

ち株とは、大株式上位10名以上及び役員の特別利害関係者が所有する株式の総

数を言います。少数特定者の持ち株比率は、東京証券取引所では、上場時75%

以下です。店頭登録では、少数特定者の持ち株比率の規制は直接はありません。

ただし、公開株式数は50万株以上の制限があります。

 公開時の、株主数は、公開株式数が1万単位未満で、東京証券取引所では8

00人以上、店頭公開時には300人以上と定められています。



4 監査要件 

 株式の公開に当たっては、会社も店頭登録会社も、証券取引法に基づき、公認

会計士または監査法人の監査を受けることが必要です。加えて、公認会計士、ま

たは監査法人の監査意見が直近事業年度は無限定適正意見であることが上場、公

開登録とも必要です。   



5 その他の要件

 その他の要件としては、会社設立後経過年数、株券の形式等が挙げられます。

定款による譲渡制限のある会社は、公開前に定款変更をすることが必要です。

 次回は実質基準を検討します。                2002.08.16



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