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4.すべての物が、語りかけ、歩み寄る

 ここでは、一例を紹介します。一見すると、ただの金色に塗られているように

見えるメリーゴーラウンドですが、これはペンキではなく金箔です。

 すべて23金が使われているのです。ペンキと金箔の違いなど、子供にわかる

はずもなく、親にだってわからないでしょう。

 しかし、23金が使われていることを、キャスト全員が知っています。ゲスト

のためなら、どんなことにも全力をあげ、最善を尽くすということを、キャスト

にわかってもらうための一つの方法でもある為、これは大事なことなのです。

 どうして、金箔でなくてはいけないかというと、キャストの心構えが違ってく

るからです。ゲストがいかに大切か、それを思い出させてくれるのが金箔なので

す。メリーゴーラウンドを掃除するのは、愉快じゃない時もあるでしょう。そん

な時、なぜ、それをやるのかを思い出す必要があるのです。子供のため、ゲスト

のためにそれをやるのだということを…。金箔は非常に重要な象徴なのです。

5.耳が多いほど、顧客の声はよく聞こえる

 ディズニーでは、あらゆる角度から顧客満足調査をしています。そして、その

調査結果を、計画や方針に上手に反映させています。顧客満足調査といっても、

 ここでの調査は楽しく答えてもらえるような工夫もされています。

6.報い、認め、讃える

 従業員の士気を高めるため、プラス評価を特に重視しています。プラス部分を

どう評価するか、あるいは無視することによって、その後に大きな影響が出るこ

とを熟知しているからです。プラス評価が大切だという事は、ほとんどの企業が

わかっていますが、実際にそうしているところは少ないのが現状のようです。

 一般的には、ミスはなくて当然と思われているように思います。

7.誰もがキーパーソン

 全員が貴重な戦力だという事。一つとして不要なキーはないという考え。



 御存知の方は多いと思いますが、ディズニーというのは、観察して飽きること

がない組織です。ここの徹底した社員教育システムは有名ですが、ここで働く人

達が素晴らしいのは、単に与えられた業務をマニュアル通りにこなすだけではな

く、ゲストのためなら、どんなことにも全力をあげ、最善をつくすという事だと

思います。

 ディズニーの企業理念を見ていくと、細部にわたり本当によく考えられている

という事を実感します。7つの企業理念が自分の会社ではどういう意味をもつか

を改めて考えてみる価値があると感じました。



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