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The Limit
of The Sky No.73 Page 3
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税 務
伸びる会社の節税戦略 bS9
−総務部門の節税 オーナーの節税対策(18)−
副所長 木村哲三
前号では、自社株の相続税対策として、配当還元価額の評価利用のケースス
タディを取り上げました。今回からはもう一歩進めて、究極の株式相続対策を考
えてみましょう。
持ち株会社による節税対策
株式の相続税が安くなっても、会社の支配権を失っては、経営上問題です。
前回取り上げた、おいやめいに額面で株式を分散する方式は、この点で将来に問
題を残します。そこで、必要な支配権を失わず、かつ相続税を安くする方法はな
いか、検討してみましょう。
支配権は3分の2の持ち株
株主総会の一般決議は、発行済株式の過半数に当たる株式を有する株主が出
席し、その議決権の過半数の決議でなされます。一方、特別決議は、発行済株式
の過半数に当たる株式を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上の多数
決でなされます。発行済株式の3分の2以上の株式を所有すれば、支配権は充分
と考えます。
ここで、特別決議が必要な決定事項を挙げると、次のような項目があります。
@定款の変更A1株あたりの純資産を5万円以上にするための株式の併合B営
業の譲渡・賃貸借・経営委任・利益共通契約C事後設立D取締役・監査役の解
任E株主以外の3者に対する新株・転換社債・新株引き受け権付き社債の有利
発行F資本減少G会社の解散H会社の継続
I合併などです。
また、より条件の厳しい特殊決議が必要なのは、取締役と会社間の取引で、
取締役の責任の免除の決議と、株式譲渡制限のための定款変更決議です。ここで、
特殊決議とは、株主の出席いかんを問わず、発行済株式の3分の2以上の株式を
有する株主の決議による場合と、総株主の過半数で、かつ、発行済株式の総数の
3分の2以上の株式を有する株主の決議による場合です。さらに、取締役及び監
査役の会社に対する次の4つの責任は、総株主の同意がないと免除されません。
@違法配当または分配A総会屋等に対する利益供与B他の取締役に対し金銭を
貸し付け、返済されない場合C法令または定款に違反する行為を
したとき。
上場会社では、オーナーの持ち株割合は制限されます。今回は、上場しない
同族会社のケースで検討します(相続対策での上場のメリット、デメリットにつ
いては今後取り上げ
ます)。 f