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税 務
伸びる会社の節税戦略 bS8
−総務部門の節税 オーナーの節税対策(17)−
副所長 木村哲三
前回まで2回にわたり、株式の相続対策のうち、配当還元価額によ
る評価利用とその応用の従業員持株会を検討しました。今回は、配当
還元価額の評価利用のケーススタディを取り上げます。
配当還元価額の評価利用
同族会社では、社長をめぐって誰の株が配当還元価額で評価され、
誰の株が原則的評価方法で評価されるのか判りにくい場合が多いです。
まして、社長からその後継者に株式が移ると、後継者を中心とする各
人の持ち分が変化し、誰がどういう評価方法を取るべきなのか、判断
がますます難しくなります。
発行済株式の50%以上を所有する株主グループがいる場合を例に
取り、複雑なケースを検討してみましょう。
図1はα靴店の現在の株主の持ち株割合と社長との関係図です。役
職は長男が副社長、長女が専務、おいは常務、めい@は監査役、めい
Aは平取締役です。その他の者の役職はありません。またA社、B社、
C社は特殊関係にある法人です。3社とも株式は社長Xが全て所有し
ています。持ち株会は直接参加方式で、各社員の持ち株割合は5%未
満です。
以上を前提にして、評価方法を見ましょう。ここではめいAを中心
にした中心的な同族株主の判定を実線で、同様の判定について長男の
妻は破線で囲んでいます。
具体的な話にはいる前に、同族株主の中で、配当還元価額で評価さ
れる株主の要件を再確認しておきます。
このケースのように中心的な同族株主がいる場合では、次の要件を
満たすものが配当還元価額で評価されます。
1 中心的な同族株主でないこと
判定する株主、その配偶者、直系血族、兄弟姉妹、一親等婚族、こ
れらのものと特殊関係にある会社の内、これらのものの株式持ち分が
25%を超える会社、以上のものの有する株式の持ち分合計が25%
以上であるとき、判定する株主は中心的な同族株主となる。
2 役員または役員となる予定のものでないこと
役員は平取締役を除き、監査役は含む。
3 持ち株割合が5%未満であること
図1のケースで以上の要件を満たす同族株主は、めいAだけです。