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税  務

令和6年度税制改正のポイント(法人税・消費税編)

税経管理第15部 部長 角田(陵)

令和6 年度税制改正について、注目度の高いもの、多くのお客様にかかわる可
能性が高い事項について法人課税を中心にご紹介します。(内容を一部省略してお
ります。)

なお、今後の審議等で変更となる可能性があることにご留意ください。

【法人税】

1. 賃上げ促進税制の強化

構造的・持続的な賃上げを実現させるため賃上げ促進税制が強化され3年
延長。人的投資・働きやすい環境づくりへのインセンティブを強化。中小企業
は最大45%控除+5年間の繰越税額控除。大企業は、中堅企業と大企業に分
かれ最大35%控除できます。(令和6年4月1日以後開始事業年度より)

2. 交際費課税の特例措置の拡充

交際費等の損金不算入制度の適用期限が3 年延長。交際費等の範囲から除
外される飲食費の金額基準が1万円/人に拡充されます。
適用時期:令和6年4月1日以後に支出する飲食費

3. 中小企業者等の少額減価償却資産特例の延長

中小企業が取得する30万円未満の少額設備投資について、年間300万円ま
での即時償却を可能とする特例措置を2年間延長します。

(令和8年3月31日まで)

4. 中小企業倒産防止共済事業に係る措置の適用制限

共済契約の解約後同共済契約の再契約をした場合には、解除の日から2年
を経過する日まで
の間に支出する当該共済契約の掛け金は、損金の額に算入
されません

適用時期:令和6年10月1日以後の共済契約の解除

5. 暗号資産の期末時価評価課税

法人が有する市場暗号資産に該当する暗号資産で、譲渡についての制限そ
の他の条件が付されている暗号資産の期末における評価額は、原価法又は時
価法
のいずれかの評価方法をその法人が選定することができます。

6. 中小企業事業再編投資損失準備金制度の拡充

産業競争力強化法の特別事業再編計画(仮称)の認定を受ける等の一定の要
件を満たした場合、その積み立てた金額は、その事業年度において損金算入で
きる
措置を加えます。

【消費税】

1. 高額特定資産を取得した際の納税義務免除の特例等の見直し

高額特定資産(税抜1千万円以上のもの)を仕入れて仕入税額控除の適用を
受けた場合、その後2年間、消費税の原則課税が強制されます(免税、簡易課
税適用不可)。金地銀等は金額の調整が容易なため課税期間中に仕入れた金地
銀等の合計額が200万円以上
である場合が加えられます。

2. 外国人旅行者向け免税制度(輸出物品販売所制度)の見直し

制度が不正に利用されている現状を踏まえ、外国人旅行者向け消費税免税
制度により免税購入された物品と知りながら行った課税仕入れについては、
仕入税額控除制度の適用を認めません

3. 帳簿の記載事項の見直し等

自動販売機及び自動サービス機による課税仕入れ、使用の際に証票が回収
される課税仕入れ(3万円未満のもの)は帳簿への「住所等」の記載を不要とし
ます。(令和5年10月1日以後のもの、運用上、記載を求めません。)

以上、概要を紹介させていただきました。

参考

「令和6 年度税制改正の大綱」:総務省

「令和6 年度(2024 年度)経済産業関係 税制改正について」:経済産業省

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