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税  務

令和4年度税制改正のポイント(法人課税編)

税経管理第13部 部長 髙橋

令和4年度税制改正について、注目度の高いもの、多くのお客様にかかわる可能性が高い事項について法人課税を中心にご紹介します。(内容を一部省略しております。)

なお、今後の審議等で変更となる可能性があることにご留意ください。

※概ね増税となるものは【増】、納税者有利となるものは【減】と表示します。

【法人課税】


1.所得拡大促進税制の見直し(中小企業向け)【減】

所得拡大促進税制とは、青色申告書を提出している中小企業者等が、一定の要件を満たした上で、前年度より給与等の支給額を増加させた場合、その増加額の一部を法人税(個人事業主は所得税)から税額控除できる制度です。

雇用者給与等支給額の対前年度増加割合が1.5%以上である場合に、雇用者給与等支給額の対前年度増加額の15%の税額控除を行うとともに、税額控除の上乗せ措置として、雇用者給与等支給額の対前年度増加割合が2.5%以上である場合には、税額控除率に15%を加算し、教育訓練費の対前年度増加割合が 10%以上である場合には、税額控除率に 10%を加算する措置を講ずることとなりました。


前年度比較対象 増加割合 税額控除率
基本 雇用者給与等支給額 1.5%以上 15%
上乗せ 雇用者給与等支給額 2.5%以上 15%
上乗せ 教育訓練費 10%以上 10%

ただし、控除税額は当期の法人税額の20%が上限です。

令和4年4月1日以降開始の事業年度から適用されます。


2.交際費課税の特例措置の延長(中小企業向け)【減】

法人が支出した交際費等は原則として損金に算入できないこととされていますが、特例として、中小法人については800万円までの交際費等を全額損金算入することが可能です。

この特例が2年延長となりました。


3.少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例の延長(中小企業向け)【減】

中小企業者等が30万円未満の減価償却資産を取得した場合、合計300万円までを限度に、全額損金算入することが可能です。

この特例が2年延長となりました。


4.少額の減価償却資産の取得価額の損金算入制度等の見直し【増】

10万円未満の少額減価償却資産、20万円未満の一括償却資産、30万円未満の少額減価償却資産(中小企業者等の特例)について、対象資産から貸付けの用に供した資産を除外することとなりました。

貸付の用に供した資産については耐用年数に応じた期間で償却することとなります。


5.証拠書類のない簿外経費についての対応【増】

納税者が、隠蔽仮装行為に基づき確定申告書を提出、又は確定申告書を提出していなかった場合には、以下に該当する額又は費用の額等を除き、所得の金額の計算上、損金の額に算入しないこととなります。

①  保存する帳簿書類等により当該売上原価の額又は費用の額等の基因となる取引が行われたこと及びこれらの額が明らかである場合
②  当該売上原価の額又は費用の額等の基因となる取引の相手方が明らかである場合その他当該取引が行われたことが明らかであり、又は推測される場合であって、当該相手方に対する調査その他の方法により税務署長が、当該取引が行われ、これらの額が生じたと認める場合
令和5年1月1日以後に開始する事業年度から適用されます。
参考:財務省『令和4年度税制改正の大綱』、『令和4年度税制改正の大綱の概要』

以上、概要を紹介させていただきました。
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