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税  務

暗号資産の税務上の取扱い

税経管理第4部 主任 角田 陵輔

2020年後半から値を上げ注目の集まった、暗号資産(ビットコイン等の仮想通貨)の税務について説明します。


<暗号資産とは>

「暗号資産(仮想通貨)」とは、ブロックチェーン技術等を用いてインターネット上で電子的に記録・移転することができる財産的価値とされています。また、「資金決済に関する法律」では、次の性質をもつものと定義されています。

  1. 不特定の者に対して、代金の支払い等に使用でき、かつ、法定通貨(日本円や米国ドル等)と相互に交換できる
  2. 電子的に記録され、移転できる
  3. 法定通貨または法定通貨建ての資産(プリペイドカード等)ではない

<所得税・法人税共通>

所得計算

BTC=ビットコイン

・暗号資産を売却した場合

4/02  5,000,000円で5BTCを購入

4/30  0.3BTCを350,000円で売却

【計算式】

譲渡価格 - 譲渡原価(1BTC当たりの価額※×売却した数量)=所得金額

350,000円 - ((5,000,000円÷5BTC)× 0.3BTC ) = 50,000円

※1BTC当たりの価額 の評価方法

「所得税の暗号資産の評価方法の届出書」を提出していない場合

個人:総平均法 法人:移動平均法 となります。


<所得税関係>

所得の総収入金額の収入すべき時期
原則として売却等をした暗号資産の引き渡しがあった日の属する年分
所得税法上の区分
暗号資産取引により生じた利益は、所得税法上の課税対象となり原則として「雑所得」に区分されます。雑所得に区分される場合、損失があってもその他の所得(事業や給与等)との損益通算ができません。
必要経費
譲渡原価・売却時手数料
このほかにはインターネットやスマートフォン等の回線利用料、パソコン購入費用の一部(暗号資産売却のために必要と認められる金額)が必要経費に算入可能となります。

<法人税関係>

譲渡損益の計上時期
暗号資産の売却等に係る契約をした日(約定日)の属する事業年度に計上
期末評価
活発な市場が存在する暗号資産は、時価評価し帳簿価額とその評価額との差額を、その事業年度の益金・損金の額に算入する必要があります。

<相続税・贈与税関係>

相続や贈与で取得された場合、課税対象となります。

評価方法は、活発な市場が存在する暗号資産は相続・贈与時点の時価価額となり、活発な市場が存在しない暗号資産の場合、売買実例価額等の個別評価となります。


<消費税関係>

国内の暗号資産交換業者を通じた暗号資産の譲渡には、課税されません。

しかし、仲介業者に支払う仲介料等の手数料は課税対象となります。

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