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税  務

令和3年度税制改正のポイント(法人課税編)

税経管理第6部 課長 髙橋

 令和3年度税制改正について、注目度の高いもの、多くのお客様にかかわる可能性が高いものを法人課税を中心にご紹介します。(内容を一部省略しております。)
※概ね増税となるものは【増】、納税者有利となるものは【減】と表示します。

【法人課税】
1.デジタルトランスフォーメーション(DX)投資促進税制の創設【減】
 産業競争力強化法の改正を前提に、青色申告書を提出する法人で事業適応計画(仮称)について認定を受け、それに従って実施されるソフトウェア等の取得費用について、取得価額の30%の特別償却又は取得価額の3%の税額控除の選択適用ができることとなります。
 産業競争力強化法の改正法施行の日から令和5年3月31までの間に取得し、事業の用に供した資産について適用されます。

2.カーボンニュートラルに向けた投資促進税制の創設【減】
 産業競争力強化法の改正を前提に、青色申告書を提出する法人で中長期環境適応計画(仮称)について認定を受け、それに従って実施される中長期環境適応生産性向上設備(仮称)※1や中長期環境適応需要開拓製品生産設備(仮称)※2の取得費用について、取得価額の50%の特別償却又は取得価額の5%(10%)の税額控除の選択適用ができることとなります。
 産業競争力強化法の改正法施行の日から令和6年3月31までの間に取得し、事業の用に供した資産について適用されます。

 ※1中長期環境適応生産性向上設備
生産工程の効率化による温室効果ガスの削減その他の中長期環境適応(仮称)に用いられる一定の設備
 ※2中長期環境適応需要開拓製品生産設備
温室効果ガスの削減に資する事業活動に特に寄与する製品その他新たな需要の開拓に寄与することが見込まれる製品として主務大臣が定める製品の生産に専ら使用される設備

3.所得拡大促進税制の見直し【減】
 所得拡大促進税制は、青色申告書を提出している中小企業者等が、一定の要件を満たした上で、前年度より給与等の支給額を増加させた場合、その増加額の一部を法人税(個人事業主は所得税)から税額控除できる制度です。
 適用要件のうち、継続雇用者給与等支給額の継続雇用者比較給与等支給額に対する増加割合が1.5%以上であることの要件が、雇用者給与等支給額の比較雇用者給与等支給額に対する増加割合が1.5%以上であることの要件となります。
 また、税額控除率が25%となる要件のうち、継続雇用者給与等支給額の継続雇用者比較給与等支給額に対する増加割合が2.5%以上であることの要件が、雇用者給与等支給額の比較雇用者給与等支給額に対する増加割合が2.5%以上であることの要件となります。
 令和3年4月1日以降開始の事業年度から適用されます。

4.中小企業の経営資源集約化に資する税制の創設【減】
 青色申告書を提出する中小企業者のうち、経営力向上計画(経営資源集約化措置(仮称)が記載されたものに限る)の認定を受けたものが他の法人の株式等を取得し、かつ、その取得日を含む事業年度終了の日まで引き続き有している場合において、その株式等の価格の低落による損失に備えるため、その株式等の取得価額の70%以下の金額を中小事業再編投資損失準備金として積み立てたときは、その金額を損金算入できることとなります。
 この準備金は、その株式等の全部又は一部を有しなくなった場合、その株式等の帳簿価額を減額した場合等において切り崩すほか、その事業年度終了の日の翌日から5年を経過した日を含む事業年度から5年間でその準備金残高の均等額を切り崩して益金算入します。
 中小企業等経営強化法の改正法の施行の日から令和6年3月31日までに経営力向上計画の認定を受けた株式等の取得に対して適用されます。

 以上、概要を紹介させていただきました。

参考:財務省『令和3年度税制改正の大綱』、『令和3年度税制改正の大綱の概要』

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