The Sky's The Limit



サ ロ ン

「ニワトリのコッコちゃん・3」

税経管理第1部 加瀬

 コッコちゃんは、今ではすっかり家の家族です。最初は鋭かった目が、今ではとてもやさしい目をしています。コッコちゃんが迷い込んできたとき、母がニワトリは縁起がいいからと、お米を食べさせてから、家の庭に住むようになりました。
 毎朝、出かける私を見送ってくれるコッコちゃん。ニワトリとこんなに仲がよくなるなんて思ってもいませんでしたが、頭がよく、そして前向きに生きることの大切さを教えてくれたコッコちゃん。今ではなくてはならない大切な家族です。
 最近は、夜中に野良猫に襲われることが増えて、隣の犬のそばの木の上で寝ることが多くなっていました。心配ごとやストレスもあるだろうに、いつも元気なコッコちゃん。いやなことがあっても、決して落ち込んでなんていません。暗い気持ちでいたら、いざというときに負けてしまうからです。

 先日の台風15号の夜、コッコちゃんは久しぶりに家の木の上に帰っていました。
なのに、夜10時過ぎのこと、コッコちゃんの悲鳴が聞こえました。急いで庭に出ると、木から降りて隣の家に逃げようとしていました。つかまえて玄関に入れようとしても、つかまりません。コッコちゃんは、隣の庭に行ってしまいました。
これから台風がくるのに、何でこんなことに。かわいそうでたまりません。
 真夜中を過ぎたころから風が強くなり、3時頃には今までにない暴風雨となりました。コッコちゃん、どこにいるの、生きててほしい。祈るしかありません。
 夜が明けて、外の様子が見えるようになると、嵐の凄まじい爪痕に驚きました。
屋根の瓦が落ち、庭の木は何本も倒れています。そして、毎朝いるはずのコッコちゃんがいません。私は、悲しくて立つこともできませんでした。
 暫くして、風が弱まってきた時、遠くでかすかにコケコッコーと聞こえました。そして、コッコちゃんは帰ってきたのです。ずぶ濡れになって小さくなって。
生きていたの、よかった。あの強い風の中、よく飛ばされなかったね。私は、本当にうれしかった。そして、生き物の生命力の強さに、感動しました。
 生きていれば、命さえあれば、何とかなる。コッコちゃんの中には、諦めるという選択は、決してないのだと思います。
 明日も元気に朝を迎えることを楽しみに、一日をそして命を大切に生きていきたいと思います。
コッコちゃんのように…。

ページの先頭へ戻る