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労 務

在職老齢年金制度

税経管理第14部 部長 平野

 日本人の平均寿命は年々伸びており、元気なシニア世代が増えています。内閣府の平成28年の資料で、労働力人口に占める65歳以上の高齢者の比率は上昇しており、仕事をしている高齢者のうち、4割が「働けるうちはいつまでも」と回答し70歳位までは働きたいと回答した方を合わせると約8割となり、たいへん高い就労意欲をもっていらっしゃいます。
 一方、少子高齢化や終身雇用の崩壊等による将来に対する不安が中高齢者の就業をもたらしているという面もあるのではないでしょうか。


 そのような中で、定年後年金をもらいながら働いているという方も多くいらっしゃると思います。その働き方はいろいろなパターンがあると思います。個人事業主として働くケースや厚生年金の適用事業所で働くケース、日数をセーブしてパート等で働くケース、小規模で厚生年金に加入しなくてもよい事業所で働くケース等いろいろなパターンがあると思います。
 そんななか、「収入により、年金の受給額が減額されることがある」ということをご存知でしょうか。これが「在職老齢年金制度」です。


 在職老齢年金のしくみによる年金額の一部あるいは全額が支給停止される要件は、厚生年金の被保険者が実際に当該法人から報酬(給与等)を得て働いている場合です。被保険者でなければ支給停止のしくみそのものが適用されず、年金を満額もらうことができます。

 つまり、自営業者や不動産収入がある年金受給者の方は、その収入の多寡にかかわらず、年金が支給停止されることはありません。

 また、厚生年金の適用事業所に勤務していても、所定労働時間が正社員の方の4分の3に満たないパート(従業員が501人以上で、週20時間以上の勤務等対象となる場合あり)や、短期の仕事は、厚生年金の加入の必要がないため、年金の支給停止はありません。従業員が5人未満の個人事業所で働く場合も、厚生年金の適用事業所とならないので同様です。


 顧問先様を訪問する際、従業員の方から「年金をもらっているのに、給料からまだ年金がひかれている」「本来もらえる年金額より、受給額が少ないのはなぜか」「いつまで年金を支払うのか」等の質問があります。また、経営者の方からは「年金を満額もらうには、自身の収入(報酬等)をどの位にすればよいのか。」「年金の仕組みがどの様になっているのか」等と質問されることもあります。


 法人の場合は、規模・業種に関係なく厚生年金の適用事業所となるため、勤務している70歳未満の方は、年金を受けていても厚生年金保険に加入しなければならないことになっています。(一定の勤務時間に満たない短期労働者は除く)(70歳以上のかたは、厚生年金への加入はありませんが、年金の支給停止基準は65歳以上の場合と同じです) そのため、少なからずその対象となり、せっかく地道に働いて年金保険料を納めてきたのに、、、、、満額年金を受給することができないケースがでてきます。


 ただ、工夫次第で年金を働きながらもらうことは可能であると思いますが、人生90年時代の今、定年後も働きながら厚生年金を払い、将来の年金受給額を増やすという選択もありではないでしょうか。

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