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税  務


              贈与税も改正されます


                        税経管理第5部 部長 伊藤


 これまで、当ニュースでも取り上げているとおり、平成27年1月1日以後発生

する相続税は、増税へと改正されます。これに伴い、贈与税についても見直しが行

われます。高齢者が保有している資産を早期に現役世代へ移転させ、消費拡大や経

済活性化につなげるための特例が新設されます。


1 相続時精算課税

(1) 概要

 @ 贈与財産の合計が2,500万円まで非課税。これを超えた部分については一

  律20%の税率。

 A 相続時には、相続財産に含めて相続税を計算します。

 B 贈与税の申告が必須です。

 C 同一の贈与者からの贈与について、後述の「暦年課税」に変更することはで
  きません。

(2) 今回の改正点

  改正後  現行
贈与者 贈与をした年の1月1日において
60歳以上の者
贈与をした年の1月1日において
65歳以上の者
受贈者 贈与を受けた年の1月1日において20
歳以上である贈与者の推定相続人及び孫
贈与を受けた年の1月1日において20
歳以上である贈与者の推定相続人



2 暦年課税

(1) 概要

 @ 贈与財産が毎年110万円まで非課税。110万円を超える部分に対して超

  過累進税率。

 A 贈与したものは、原則として相続財産に含めません。ただし、相続開始前3

  年以内に贈与したものは、相続財産に含めます。

(2) 今回の改正点

 @ 最高税率の引き上げ

 A 贈与を受けた年の1月1日において20歳以上の者が直系尊属(父母や祖父

  母等)から受ける贈与の特例税率の創設


◇贈与税の速算表

110万円控除後の
価格
改正後 現行
直系尊属から 左記以外から 税率 控除額
税率 控除額 税率 控除額
200万円以下 10% 10% 10%
300万円以下 15% 10万円 15% 10万円 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円 20% 25万円
600万円以下 20% 30万円 30% 65万円 30% 65万円
1,000万円以下 30% 90万円 40% 125万円 40% 125万円
1,500万円以下 40% 190万円 45% 175万円 50% 225万円
3,000万円以下 45% 265万円 50% 250万円
4,500万円以下 50% 415万円 55% 400万円
4,500万円超 55% 640万円


<例>

父親から500万円の贈与を受けた場合

現行:

 (500万円−110万円)×20%−25万円=53万円

改正後:

 (500万円−110万円)×15%−10万円=48万5000円

差額:

 53万円−48万5000円=4万5000円


 ※同一年に直系尊属からの贈与と直系尊属以外からの贈与の両方がある場合には、

 調整計算規定により税額を計算します。


この改正は、平成27年1月1日以後の贈与から適用になります。




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