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The Sky's the Limit No.153 Page 3
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税 務
新しい投資優遇制度「NISA」が始まります
税経管理第5部 部長 伊藤
新しい投資優遇制度「NISA(ニーサ)」について、取り上げます。2013年
12月31日をもって、上場株式等にかかる軽減税率が廃止されることもあり、注
目されています。
1 NISAとは
2014年1月から導入される少額投資非課税制度。イギリスのISA(個人貯
蓄口座)を参考にしており、Nは日本を意味しています。
(1) 利用できる方
日本国内に居住する20歳以上の方が利用できます。
(2) 非課税対象
上場株式や株式投資信託等の配当金及び売買損益。
(3) 非課税期間
最長5年間。
(4) 非課税投資額
新規投資額で毎年100万円が上限(年間100万円まで購入可能)です。最大
500万円(100万円×5年間)。この金額には、購入時の手数料は含みません。
(5) 口座開設可能期間
10年間(2014年〜2023年)。
2 利用にあたっての留意点
NISAを利用するには、証券会社や銀行等の金融機関でNISA口座の開設が
必要です。口座開設手続きは、2013年10月1日から開始されています。
(1) NISA口座は1人1口座のみ開設可能です。
(2) 一度開設したNISA口座は、4年間、別の金融機関に変更・開設はできませ
ん。
(3) 未使用分の非課税枠を翌年へ繰り越すことはできません。
(4) 途中での売却はできますが、非課税枠は再利用できません。
(5) 新たに購入したものが対象になるため、現在他の口座で保有しているものを移
管することはできません。
(6) NISA口座で生じた売買損失は、他の口座の収益との損益通算はできません。
また損失の繰越控除もできません。
3 非課税期間が終了したあとの取扱い
NISA口座で上場株式等を保有したまま、非課税期間が終了した場合には、下
記の取扱いとなります。
(1) 継続
終了後、引き続きNISA口座で翌年の非課税投資枠100万円を利用して、そ
のまま保有できます。
(2) 移管
特定口座や一般口座に移すことができます。この場合は、その後の配当金及び売
買益等は課税されることになります。
(3) 取得日と取得価額
上記(1)、(2)の取扱いを受けた上場株式等の取得日は、その5年を経過した日とな
り、取得価額は、その5年を経過した日における終値(時価)に相当する金額とな
ります。
4 注意点
NISA口座で扱える金融商品は、上場株式、株式投資信託、ETF、REIT
等です。全ての金融機関で、これら全ての金融商品を購入できるわけではありませ
ん。自分が購入したい金融商品を取扱っているかが、NISA口座を開設する金融
機関を選ぶポイントになります。
また、売買手数料等のコストも金融機関によって異なります。コストがかかれば、
利回りにも影響します。
5 上場株式等にかかる軽減税率の廃止
前述しましたが、2013年をもって、上場株式等の譲渡所得や配当金にかかる
軽減税率の特例措置が廃止されます。その税率の推移は、下記のとおりです。
2009年〜2012年 | 10% (所得税7% 住民税3%) |
2013年 | 10.147% (所得税等7.147% 住民税3%) |
2014年〜 | 20.315% (所得税等15.315% 住民税5%) |