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税 務


             太陽光発電設備による余剰電力の売却収入(個人)


                                           税経管理第4部 部長 夏目


 再生可能エネルギーの固定価格買取制度は、再生可能エネルギー源を用いて発電された電気を、国

が定める固定価格で一定の期間電気事業者に調達を義務づけるもので、2012年7月1日にスタートしまし

た。

 今回は、個人で太陽光発電設備を導入して余剰電力の売却をした場合、所得税の申告はどうしたら

よいか簡単に説明します。(国税庁HPより)


1. 自宅に太陽光発電設備を設置した場合(給与所得者)

 給与所得者が太陽光発電設備を家事用資産として使用し、その余剰電力を売却した場合には、「

所得
」に該当します。

 なお、太陽光発電設備の投資額は、減価償却資産に該当し、「機械装置」に分類されます。

 この機械装置の耐用年数は「17年」を適用します。

 また、必要経費となる減価償却費は、全額認められるわけではなく、発電量のうちに売却した電力

量の占める割合分だけとなります。


2. 自宅兼店舗に太陽光発電を設置した場合(個人事業者)

 個人事業者が、自宅兼店舗に太陽光発電設備を設置し、発電した電力を自宅及び店舗で使用するほ

か、余剰電力を売却した場合はどうでしょうか。

 この設備による余剰電力の売却収入は、事業所得の付随収入となります。

 理由としては、この設備が自宅と店舗の兼用でも、この設備から発電される電力が事業用に使用さ

れている限り、この設備は減価償却資産となりますので、その資産からもたらされる収入については、

全て事業所得の付随収入となります。

 この場合、減価償却費は、売電した電力量の割合と、合理的な基準による店舗の使用割合をもとに

計算することになりますので、注意が必要です。

 なお、この設備は事業所得にかかる資産であるため、特別償却又は所得税額の特別控除の適用を受

けることができます。


3.賃貸アパートに設置した太陽光発電設備の場合

 賃貸アパートに太陽光発電設備を設置し、アパートの共用部分で使用し、その余剰電力を売却し

た場合はどうでしょうか。

 この設備による余剰電力の売却収入は、不動産所得の収入金額となります。

 この設備を設置することにより共用部分の電気料は減少し、必要経費も減少します。この設備に

よる発電が不動産所得の金額を増減させることになるため、その余剰電力も不動産所得に係る収入

金額とし、その所得金額を計算することになります。

 なお、特別償却又は所得税額の特別控除の規定は、事業所得を生ずべき資産について適用できる

ため、不動産所得を生ずべき資産である賃貸アパートに設置した設備は、適用できませんのでご注

意ください。

 <全量売電の場合はご注意を>

 不動産賃貸業を行う個人が、賃貸物件に太陽光発電を設置し、全量売電を行っている場合の売電

収入は、上記のような不動産所得との関連性が認められないことから、それが事業として行われて

いる場合を除き、「雑所得」に該当することになります。


 【税金に関するちょっとした話題】

  〜競馬で稼いで10億課税された会社員〜

   昨年、競馬で稼いだ所得を申告せず、総額30億円分を課税対象とされ、

 所得税法違反で大阪地検に起訴されるという騒動が起きました。

  現在、大阪地裁で公判が進行中のようです。

  現在の税法では次のように計算するようになっています。

  「一時所得(総合課税)」

 {(馬券の返戻金 - 当たり馬券の購入費)-50万円}×1/2=一時所得

 今回大阪国税局は、必要経費について「収入を生じた行為のために直接

 要した金額」として、はずれ馬券の購入費は認めていません。

 公営競技はほどほどに楽しんでいただきたいですね。


 なお、サラリーマンの方で、余剰電力を売却して計算した雑所得が20万円以下となり、他に所

得がなければ確定申告する必要はありません。

 詳しいことは各担当者までお気軽にご相談ください。




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