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サ ロ ン
           ピアノ再出発


                  税経管理第2部 加瀬 裕美


 少し遠ざかっていたピアノを始めました。

 趣味として自由に弾いてはいたのですが、自己流でもあり、一向に

上達もしないままでした。もう一度、先生について厳しく習ってみた

いと思っていた矢先、知人からよい先生を紹介してもらう機会に恵ま

れ、思い切ってまた始めてみることにしました。先生は、東京芸大を

卒業され、何年か先輩にはあのフジコ・ヘミングがいるという、私か

らしたらそれこそ神様のような方です。ピアノが上達するかしないか

の七割は指導者の責任だからと、もたついている私の演奏を一生懸命

に聴いてくれ、申し訳ないくらいていねいに教えてくれます。


大人になってからの習い事は、子供の時と違って嫌々ではなく、本

当に望んで習っているので、いろいろなことに気がつきます。レッス

ンでいつも言われる言葉は、「あなたの演奏は落ち着きがないわね、い

つも急いでる」です。急いでしまうのは仕事柄(?)なのでしょうか・・・。

しかし、あの落ち着いたゆとりのある演奏をする先生でも、日常のテ

ンポではないゆったりとした間を持つために、茶の湯に通っていらっ

しゃるとか。曰く、「私だってせかせかした性格だから、いつもお茶の

先生に、またお台所仕事になっていますよ、と叱られるのよ」と。

 毎日が慌しく過ぎていく中で、気持ちにゆとりをもつこと、ゆった

りとした間を感じることが如何に大切かがわかります。

 手をピシャリと叩かれ、「今の演奏はまるで夢遊病者のようで地に足

が着いていない、もっと余裕をもって演奏しなさい」と叱られながら、

冷汗たっぷりの厳しいレッスンなのですが、なぜか終った後はとても

すがすがしく、「音楽っていいな」と心から思えるのです。


 今はとても素直に、子供の頃ピアノに親しむきっかけを作ってくれ

た親に感謝するとともに、ピアノと音楽を一生続けようという思いが

あふれています。


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