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税 務


    「新しい時代にふさわしい税体系」に注目!


                  税経管理第5部 部長 夏目 毅雄


 今年の9月4日(日)に偶然、池袋に行く用事がありました。JR池袋駅

の東口を出たところで、動けないほどの人の多さに驚きました。人の波に押

されてしばらく行くとその理由がわかりました。選挙期間中で東京10区の

小池百合子氏を応援するため、小泉総理が来る直前でした。

 この時、「小泉人気」の凄さを肌で感じた瞬間でした。選挙の結果は、やは

り小泉自民党の圧勝で幕を閉じました。本当に「改革を止めない自民党」が

支持されたのかどうかわかりませんが、結果は出ました。

 この小泉自民党の考える「税制」について注目してみたいと思います。


【サラリーマン増税は否定!】

 大勝した自民党が「政権公約2005」で掲げている「税制」において、

政府税調が発表した論点整理のいわゆる「サラリーマン増税」の考え方はと

らないと公約しています。


《政府税調が発表した個人所得課税の抜本的見直しの内容(一部)》

・給与所得控除の見直し(縮減)

・退職所得控除の見直し(縮減)

・配偶者控除の見直し(廃止)

・ゴルフ会員権の譲渡損の損益通算見直し


★すでに確定している増税改正★

【65歳以上の年金受給者】

公的年金控除の上乗せ部分が廃止になります。(平成17年分から)


【65歳以上の者】

老年者控除(50万円)の廃止。(平成17年分の申告から適用)


【社会保険(厚生年金)に加入している者】

今後、毎年保険料率の改定(年0.354%増)が予定されています。

平成17年9月 13.934% →毎年改定→ 平成29年9月 18.3%


【個人所得のある者】

定率減税の縮減(平成18年分所得税から適用)

  「現行」             「改正後」

所得税額の20%        所得税額の10%

 (25万円を限度)      (12万5千円を限度)


【増税は避けられないか?】

 自民党が勝ったことにより、今年の年末までに自民税調より発表される「税

制改正大綱」が注目されます。

 「自民党重点施策2006」の中で、「税制改革」について次のように記述

してあります。

 [1]平成18年度において、三位一体改革の一環として、所得税から個人住

 民税への制度的な税源移譲を実現します。

 [2]さらに、平成19年度を目途に、社会保障給付全般に要する費用の見通

 し等を踏まえつつ、あらゆる世代が広く公平に負担を分かち合う観点から、

 消費税を含む税体系の抜本的改革を実現します。


 また、小泉総理は9月28日の衆院本会議で、『在任中に、消費税を引き上

げる考えはない』と述べています。しかし、その一方で、財政再建のために

は、消費税を含めたあらゆる税制について議論を進めるべきだと述べていま

す。来年以降、消費税率の引き上げという話題は避けられないと思います。

 さらに、これまでの財務大臣の記者会見を見てみますと、定率減税の廃止

という流れはそのまま続いており、完全廃止の可能性があります。


 徐々にではありますが、確実に国民の税負担は増加傾向にあると思います。

 自民党は「国民の合意を得つつ、新しい時代にふさわしい税体系の構築を

目指す」としています。国民はどこまで耐えることができるのでしょうか。

 年末に明らかにされる税制改革が「新時代の税体系=増税時代」となるこ

とのないよう願うばかりです。


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