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of The Sky No.97 Page 3
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税 務
注意! リース取引
税経管理第10課 課長 伊藤 敬一
設備の調達をする場合に購入、リースといった手段があります。ご承知の
とおり、リースによる調達は一時に多額の資金を必要としない等のメリット
があり、利用されている方も多いと思います。
一般的に、リース取引に係るリース料は全額経費になりますが、その契約
内容によっては、税務上での取扱に注意する場合があります。
1 リース取引の要件
税法上のリース取引とは、資産の賃貸借で次の要件を満たすものをいいま
す。
(1) その賃貸借に係る契約が、賃貸借期間の中途においてその解除をするこ
とができないもの又はこれに準ずるもの。
(2) その賃貸借に係る賃借人が、その賃貸借に係る資産からもたらされる経
済的な利益を実質的に享受でき、かつ、その資産の使用に伴って生ずる費
用を実質的に負担すべきこととされているもの。
2 売買取引として取り扱われるリース取引
上記1のリース取引で、次の要件のいずれかに該当するもの又はこれらに
準ずるものであるときは、そのリース取引はリース資産の引渡時に売買があ
ったものとして取り扱われます。
(1) リース期間終了時又は中途において、リース資産が無償又は名目的な対
価の額で賃借人に譲渡されるもの。
(2) 賃借人に対し、リース期間終了時又は中途において、リース資産を著し
く有利な価額で買い取る権利が与えられているもの。
(3) リース資産の種類、用途、設置の状況等に照らし、リース資産がその使
用可能期間中その賃借人のみによって使用されると見込まれるもの又はリ
ース資産の識別が困難であると認められるもの。具体的には次に掲げるも
のがあります。
@ 土地、建物、建物附属設備又は構築物を対象とするリース取引。
A 専用機械装置(賃借人に合わせて特別な仕様により製作されたもの等)
を対象とするリース取引。
(4) リース期間がリース資産の耐用年数に比して相当の差異があるもの(そ
の賃貸人又はその賃借人の税金の負担を著しく軽減することになると認め
られるものに限る。)。ここで相当な差異があるものとは、次のように定め
られています。
@ リース期間が耐用年数に比して短い場合(1年未満の端数切り捨て)
耐用年数が10年未満のもの…耐用年数の70%未満
耐用年数が10年以上のもの…耐用年数の60%未満
A リース期間が耐用年数に比して長い場合(1年未満の端数切り上げ)
耐用年数の120%超
3 金融取引として取り扱われるリース取引
上記1のリース取引で、賃借人が所有する資産を、賃借人がリースを受け
ることを条件に賃貸人に売却する取引が行われる場合があります。このとき、
その資産の種類、その売買及び賃貸に至るまでの事情その他の状況に照らし、
これら一連の取引が実質的に金銭の貸借であると認められる場合は、その資
産の売買はなかったものとし、かつ、賃貸人から賃借人に対する金銭の貸付
けがあったものして取り扱われます。
しかし、金融目的以外の合理的な理由がある場合には、一般の賃貸借取引
とされます。金融取引に該当しないものとしては、次のような場合があります。
(1) 新品の資産を対象とした場合で、賃借人が賃貸人の代わりに購入するこ
とに相当の理由があり、かつ、その資産につき立替金等の仮勘定で経理さ
れているもの。
(2) 中古の資産を対象とした場合で、その資産の管理事務の省力化等のため
に行われるもの。
リース取引には、色々なケースが考えられるため、上記の点も踏まえ、契
約書の内容を十分に確認する必要があります。紙面の関係上、ここに掲載で
きなかった部分もありますので、詳細については、契約の前に担当者にご相
談下さい。
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