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    − 世界の中の日本の明日 −

January・February
 12月9日、自衛隊のイラク派遣が決まりました。日米関係

と日本と世界の関係が新たな展開を見せています。


 米英のイラク侵攻は安保理の合意無しの派兵であり、国連憲章違反の侵略行為

とする見方もあります。常任理事国フランス、ロシア、中国はじめドイツも、ア

メリカ占領下のイラクに支援資金も軍隊も送っていません。

 ポーランドや韓国等、アメリカの助力を必要とする国が、アメリカの要請でイ

ラクに自国軍を派遣しています。北朝鮮の拉致問題や核の脅威を抱える日本も、

北朝鮮との交渉のバックにアメリカの力を必要としています。日本は拉致問題を

国連に訴えているはずですが、今のところ効果はないようです。

 アメリカには、日本の自衛隊派遣により、国際世論を対テロにまとめたい思惑

が見えます。


 小泉首相は憲法の前文を引用し、今回の自衛隊派遣の必要性を国民に説得して

いました。憲法前文は玉虫色で、政府の行為によって再び戦争が起こらないよう

にといいながら、国際社会において専制と隷従を無くすために努め、自国のみで

なく他国を無視しない旨も言っています。

 今回の自衛隊派遣は、イラクで戦闘行為をするのでなく、人道復興支援活動と

米英軍等に対する武器輸送を除く安全支援活動のみの実施を謳っています。とは

言え、現地の状況から、自衛隊が戦闘に巻き込まれる可能性があり、人的被害も

多くの識者が予想しています。

 こういった状況で、派遣された自衛官に何か事があれば、小泉首相の政治生命

に係わります。憲法九条を盾に、イラクの安全を見極めてからの派遣という手も

あったかと思います。リスクを侵しての早期派遣には、小泉ブッシュ間の何らか

の約束、北朝鮮対応の密約があるのではと思ってしまいます。


 ヨーロッパはロシアも含め、ECという一つの共同体として勢力を保持しよう

としています。フランス、ドイツのアメリカ対応にも、ECというバックがあり

ます。日本は、現状ではアメリカ以外のパートナーの選択肢が見あたりません。

日本の同盟国として、アメリカが最重要ではあることに異論は少ないと思います。

 憲法九条で交戦権を放棄し、戦力保持を認めない日本としては、ヤクザな国に

対するに、アメリカの力の後ろ盾が必要です。

 独立国家として、自分の国を自分で守れる憲法に改正する時期が来ているので

はないかと思います。憲法九条の戦力非保持規定は、自衛隊の存在で既に反故に

されています。


 宗教を持たず、武器も輸出せず、悲劇的な戦争体験を持つ日本の、アメリカ追

従だけでない新たな国際関係の哲学が必要とされています。    2003.12.11



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