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The Limit
of The Sky No.84 Page 2
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5 ・6 −40代、彼らの選択−
May・June ゴーギャン没後100年、日本にも証券トレーダーから風景写真
家に転身した机氏が登場しました。4月の始め、彼の個展を楽しんできました。
ゴーギャンのタヒチでの日々は過酷なことも多々あったようですが、現代のゴ
ーギャンはハッピーに地中海を遊写しています。画面から生きる歓びが放射される
作品、深い思考を促す沈黙の作品もありました。このまま、こういった風景作品を
とり続ければ、いつか巨匠になりそうです。
外資系の証券会社に移る前に共通の友人を通じて彼と知り合いました。そのこ
ろから、発想の桁が違う大変面白い人物でした。外資証券会社でも順調に出世して
いると聞いていました。突然の転身は興味深かったです。転身の理由を、彼は個展
の案内で以下のように記しています。
「4年前にそれまで築き上げた生活を捨て、「本気か?」と言われつつ欧州の旅
に出た。証券の仕事は競争と刺激に満ち、知的ゲームとして面白かった。没頭でき
たので成果も上がり、見合った報酬や地位も付いてきた。しかし、突き詰めていく
内に、この国の経済システムがまやかしの上に成立していると思えてきた。それ以
降自分の関心はより純粋なもの、美しいもの、五感が欲するものに移っていった。
たとえば以前から好きだったラテン音楽、料理、アウトドアスポーツに。そんなと
きアンセル・アダムス(風景写真の創始者)の巨大な作品に接して写真がすごい説
得力を持つことを知る。「違う世界を見てみたい。そこで何か純粋なものを見だし
て表現してみたい」という思いが高まった。」
今後の作品が楽しみです。(机氏のURLは、http://www.tsukue.net)
グレートジャーニーという番組が10年ほど前から放映され、先日最終回が放
映されました。400万年前、東アフリカに誕生した人類は、百数十万年前アフリ
カを飛び出し、アジア、極北の地を経て、ついに南米最南端のパタゴニアに到達、
5万キロに渡る画期的大遠征を成し遂げます。人類最大の冒険です。この大遠征を
逆方向にパタゴニアから出発しアフリカに至る、近代的な動力をいっさい使わず、
人力だけで辿ろうというダイナミックな試みが関野氏により企画されました。企画
当時氏は40代前半で、この期を逃してはこの試みをできないと思い実行したとい
うことです。探検家、関野氏は、南米の先住民も私たち日本人もモンゴロイドであ
るという発見が、この旅のきっかけだったといいます。コロンブスより1万年以上
前にモンゴロイドはアメリカ大陸を発見していたのです。それにしても、現代に君
臨するアングロサクソンより、1万年以上も前に世界を旅し、アジアは元より、両
アメリカ大陸もモンゴロイドが踏破していたなんて痛快です。
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