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税 務

      伸びる会社の節税戦略 53

      −総務部門の節税 オーナーの節税対策(22)−

                           所長 木村哲三

     株式公開による節税 2



 前回に引き続き、株式の公開を考えます。前回はそのメリットを取り上げま

したが、今回はそのデメリットについて考え、次いで相続税対策にとって株式

公開は効果があるか検討します。



 株式公開のデメリットとしては、一般に次の2つが言われています。



1,経営権に対する圧力

 株式が公開されると、誰でも株式を購入できるので、乗っ取りなどの恐れも

出てきます。最近のように、株式の持ち合いの慣行がなくなってくると、日本

でもこの問題はクローズアップされるでしょう。

 さらに、第三者の目に常にさらされるので、未公開会社のようなワンマン経

営は難しくなります。



2,事務経理の増加

 公開に伴い、監査費用を始め、有価証券報告書等の作成等事務費が大幅に増

大します。加えて、株主総会の運営対策にも費用と労力がかさみます。



 以上のデメリットはありますが、株式を公開するメリットは大きいといえま

す。東急グループの故五島昇氏のように、会社は上場して一人前という考えか

ら、子会社をどんどん上場させた経営者もいました。



相続税対策としての株式公開



 相続税対策として、株式の公開はどのような効果があるのでしょうか。

 結論から先に言えば、相続税の節税対策としての効果はありません。公開株

式の評価額が、公開前の株式の評価額より低くなるとはいえないからです。一

般的には、公開株式の株価は、公開前より高くなることが予想されます。



 株式公開の相続税対策に対するメリットは、納税資金について言えます。

 納税資金対策上、2つの点で、非公開株式より公開会社の方が有利です。公

開後の譲渡税と納税時の資金調達です。

 次回これらにつき検討します。               2001.12.21



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