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−2001・2002−


January・February 後10日で2001年も終わります。今年はどういう年だっ

たのでしょうか。

 日本では、まず「構造改革」です。第2次橋本内閣は行革の旗印のもとスター

トしましたが、財政改革を先にしたことと景気悪化で粉砕されました。小泉内閣

は景気悪化にも係わらず、国民の支持厚い首相のイニシアティブでようやく構造

改革も端緒につきました。2002年度予算の財務省案では、首相の公約通り、

国債発行は30兆円に収まり、特殊法人・認可法人向け財政支出は1兆円削られ

ました。

 なぜ構造改革が必要か。生産性の低い分野への過大な資源配分を変えるためで

す。莫大な金額の税金が、郵便貯金を原資とする財投が不効率、不透明な特殊法

人や公益法人に流れています。2000年、財政赤字は645兆円となり、国内

総生産500兆円を超えました。日本国の信用ランクも下がり続けています。

 「構造改革とはなにか 日本国の研究」猪瀬直樹著(小学館)を読むと、癌細

胞のように国に寄生し増殖していく特殊法人、公益法人の実態が事例をもとに示

されます。我々の血税はこんなところで大量に費消されていたのかと唖然としま

す。また、規制を作って国民から巧みに手数料を搾取します。

 省庁がらみの巧妙な仕組みが災いして、腐敗構造はここ30年手つかずで末期

的様相です。ソビエト連邦崩壊時もかくやと思われます。日本沈没間近です。小

泉首相の決意と断行、第三者の立場で改革をチェックし提案権も持つ行革断行評

議会の委員に就任した猪瀬氏に期待します。

 景気が低迷しており、公共投資による景気刺激策が強く求められていますが、

公共投資そのものが特殊法人等に吸収されてしまう現状では、その効果は疑問で

す。透明でスリムな行政を確立するのが先決です。景気刺激策は、民間の投資を

引き出すタイプの減税と規制緩和が有効と考えます。2002年度の税制改正で、

不動産取引の登録免許税廃止案が潰れたことは残念です。



 2002年はどういった年になるでしょうか。

 デフレ下の緊縮予算で、景気はいっそう厳しくなるものと予想されます。市場

から退場すべき不効率な企業の多くが、姿を消すでしょう。4月にはペイオフが

凍結解除され、金融機関も選別されます。不良債権化を恐れる金融機関の貸し渋

りがいっそう景気の足を引っ張ります。ひどい景気の春かもしれません。ここが

胸突き八丁でしょうか。

 この谷を越え、構造改革が成功していれば、不効率な政府系機関に回っていた

資金が民間に回帰し、ふるいにかけられた生産性の高い企業はいっそう国際競争

力を増し、必要な投資を増やします。透明になった日本の資本市場へも資金が戻

ってくるでしょう。ここから新たな成長が始まると思います。労働集約的な事業

ではとても中国に太刀打ちできない日本企業の今後のキーワードは、ノウハウ・

ブランドと思います。構造改革後の日本の新たなグランドデザインが必要です。



 午年は波乱の年が多いようですが、変化を楽しみたいものです。

 よいお年をお迎え下さい。                 2001.12.21


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