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7 ・8 −日本の沖合漁業−

July・August
 日本は海に囲まれた国で、太古の昔から日本人は海の魚を食べ

てきました。ただし、近年は漁獲量の減少が続いています。

 平成12年度の漁業白書によると、食用魚貝類の自給率は60%を割りま

した。国内の漁獲量は最盛期では1300万トン近くあったのに、平成11

年は662万6千トンでした。生産額も昭和55年からのピーク時は3兆円

程度でしたが、平成11年では2兆円を割りました。生産量が半分に減って

も、生産額は3割減程度です。漁業就業者数も昭和43年の486千人から

平成11年は277千人に半減しています。水産物の輸入は、昭和60年頃

から100万トン、1兆円を超え始め、平成11年では250万トン、1兆

8千億円程度です。魚種としては、エビ、さけ・ます、カニがベストスリー

です。

 日本の漁獲量で多い魚種は、鰯、鯖、秋刀魚ついで鰺でしょうか。いわゆ

る大衆魚です。これらは沖合漁業で獲られます。鰯、鯖、鰺は主に旋網漁業、

秋刀魚は棒受網漁業により漁獲されます。

 マイワシは、昭和63年の資源量は2000万トンを上回っていました

が年々減少し、平成11年では100万トン以下と推定されます。漁獲量も

昭和63年の344万トンから、平成11年では29万トンに減っています。

 マサバも推定資源量は昭和52年の659万6千トンからここ10年以

上、100万トンを割っています。漁獲量もピークの昭和53年の120万

トンを超える量から、平成11年は10万トンを切りました。

 サンマは、平成7年から9年までの推定資源量はほぼ200万トンで安

定していましたが、平成11年は91万トンに減っています。漁獲量も昭和

58年以降20万トンを超えていましたが、平成11年は13万5千トンで

した。マイワシ、マサバに比べて減少率は小さいです。

 漁獲可能量(TAC)制度によりマイワシ、マサバ、サンマ、マアジ等

は漁獲量制限で資源保護していますが、資源量は減少しています。



 獲りたての鰯は鯛よりうまいと言われます。日本人が鰯、鯖、秋刀魚、

鰺を生で食さなくなることはないでしょう。リノール酸を含んだ青みの魚は

高齢者の健康にも資するので、今後はもっと注目されるでしょう。日本人が

生で食す限り、輸入は無理があります。加えて大衆魚は価格が安いので輸送

コストから自ずと輸入に制限があります。こういった点から、日本の沖合漁

業が壊滅することはありません。しかし、漁獲量の減少、船価を含め経費の

増大から漁業者の淘汰は進むでしょう。



 ここで、沖合漁業のKFS(成功要因)を考えてみましょう。ポイント

は漁獲高の確保と経費の抑制です。

 資源保護を前提とした中での漁獲量の確保は、投網決定のタイミング、

時期ごとの漁場、魚の習性や気象判断、繰船を含めたノウハウ及び船の性能

で左右されます。また、漁獲高は漁獲量と魚価で左右されます。魚価は市場

で競りにより決められますが、漁業者が価格を付けることができないか、活

魚出荷等はどうか、検討が必要です。値決め権をもてるかどうかは商売上の

キーです。


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