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税  務


   平成28年度税制改正のポイント(法人・消費課税)


                        税経管理第11部 部長 佐藤


 平成27年12月24日に平成28年度税制改正大綱が閣議決定されました。

 法人税、消費税関係の改正で主なものを以下にご紹介します。

法人税関連

 昨年から「成長志向の法人税改革」として税率の引下げと課税ベースの拡大の改

正が実施されました。この流れが継続されます。


1. 法人税の税率の引下げ【減】

  平成28年4月1日以後に開始する事業年度について法人税率が23.4%、平成

 30年4月1日以後に開始する事業年度について23.2%と、段階的に引き下げられ

 ます。

現行 平成28年度 平成30年度
国の法人税率 23.9% 23.4%(▲0.5%) 23.2%(▲0.7%)
国・地方の法人実効税率
(標準税率ベース)
32.11% 29.97%(▲2.14%) 29.74%(▲2.37%)

 ※中小企業の年800万円以内の所得については、平成28年度は15%(特例)、平

 成29年以後は19%(原則)となっています。


2. 生産性向上設備投資促進税制の廃止【増】

  設備投資減税は、当初の期限通り、平成28年度に支援措置を縮減し、平成28

 年度末に廃止されます。縮減・廃止期限を明確化することで、期限内の設備投資

 を強力に後押しする狙い(「やるなら今でしょ」)です。

現行(H27年度) 平成28年度 平成29年度
特別償却 即時 50%特別償却 廃止
(うち建物・構築物) 即時 25%特別償却
税額控除 5% 4%
(うち建物・構築物) 3% 2%

3. 減価償却制度の見直し【増】

  平成28年4月1日以後に取得をする建物付属設備、構築物の償却の方法につい

 て、定率法が廃止され、定額法に一本化されます。


4. 欠損金の繰越控除制度等の見直し【増】

  大法人の欠損金繰越控除制度が以下のように見直されます。

H26年度 H27年度 H28年度 H29年度 H30年度
大法人 控除限度 80% 65% 60% 55% 50%
繰越期間 9年 9年 9年 9年 10年

 ※中小法人等は現行通り控除限度額は100%です。


5. 企業版ふるさと納税(地方創生支援税制)の創設

  地方公共団体が行う、地方創生を推進するうえで効果の高い一定の事業に対し

 て法人が行った寄付について、法人事業税・法人住民税・法人税の税額控除が創

 設される予定です。現行の損金算入措置も継続される見込みです。

  処理案は、以下のようになっています。

 @法人事業税:寄付金額×10%の税額控除(税額の20%上限)

 A法人住民税:寄付金額×20%の税額控除(税額の20%上限)

 B法 人 税:Aで控除しきれなかった額又は寄付金額×10%の税額控除

消費税関連

6. 消費税の軽減税率制度

  消費税の軽減税率制度が平成29年4月1日から導入されます。

  税率8%となる対象品目は飲食料品の譲渡(酒類・外食サービスを除く)と、定

 期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞の譲渡です。上記以外の取引

 には10%の税率が課されます。

  複数税率制度となるため、仕入税額控除の方式として「適格請求書等保存方式」

 (いわゆる「インボイス制度」)が平成33年4月1日から導入されます。

  インボイス制度が導入されるまでの間は、現行の請求書等保存方式を維持しつ

 つ、10%分と8%分を分けて記載した「区分記載請求書等保存方式」の措置が取

 られます。

  なお、複数税率に対応した区分経理が困難な事業者等に対しては、みなし割合

 を用いた簡便な税額計算方法を認める案が出されています。


  詳細については、法案成立後に随時皆様にお伝えしていきます。



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