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税  務


           ジュニアNISAが始まります


                        税経管理第5部 部長 伊藤


 皆さんご存知のとおり、NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)は2014年

にスタートしました。

 おさらいをしますと、NISAとは、毎年100万円までの株式投資や投資信託

にかかる売却益や配当金等が非課税になる制度です。


 現行では、この制度の適用を受けられるのは、20歳以上になっています。そこ

で、株式市場のより一層の活性化と若年層への資金移動を期待して、20歳未満で

も適用できるように、というのが「ジュニアNISA」です。


1 制度の内容

対象年齢 0歳〜19歳の日本居住者
非課税とされる対象 株式等の売却益、配当金等
非課税金額 年間80万円
期間 5年間
非課税とされる金額の総額 年間80万円×5年間=400万円
制度継続期間 2016年〜2023年 8年間
運用開始は2016年4月〜、口座開設は2016年1月〜
口座管理者 親権者が代理する


2 制度利用のメリット

(1) 非課税枠内での贈与

 「贈与」の非課税枠は年間110万円です。親(祖父母)が子(孫)のジュニア

NISA口座を開設して年間限度額の80万円を入金してあげても110万円以下

のため、贈与税はかかりません。


(2) 将来のための資産運用

 子(孫)の将来のための資産運用ができる。


3 注意点とデメリット

(1) 18歳までは引き出し制限

 子(孫)が18歳になるまでは、ジュニアNISA口座から資金を引き出すこと

ができません。資金を引き出してしまうと、それまでに得た利益に対して課税され

てしまいます。災害等の理由による場合は、非課税で引き出しができます。


(2) 110万円の非課税枠が拡充されたわけではない

前述しましたが、ジュニアNISAにより従来の贈与税の非課税枠である110

万円が拡充されたわけではありません。ジュニアNISA口座へ80万円入金した

場合は、その年の非課税枠の残額は30万円になります。


4 投資のリスク

 ジュニアNISAは、株式等の運用益を非課税にする制度です。これらの投資商

品には、元本割れ等のリスクが常に伴います。子や孫が大人になったときに相応の

資産になっているとは限りません。

相続対策の観点からの注目度が高くなっているようですが、「子や孫のため」に慎

重な判断が必要です。


5 NISAの拡充

 従来の大人版NISAは、来年2016年1月から年間の投資上限額が100万

円から120万円に引き上げられます。



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