前のページへ  木村会計 The Limit of The Sky No.165 Page 2  次のページへ


税  務


         「マイナンバー」はこわくない(その2)

                             代表社員 木村哲三


 マイナンバーの利用は社会保障、税金、災害対策だけ

 マイナンバーはどんなところに使われるか不安だという声を、今でも聴きます。

 マイナンバーは社会保障、税金、災害対策だけで使われます。そのほか、たとえば金融

関係等では使われませんのでご安心ください。


 今年(平成28年 2016年)やることは4つだけ

 1.マイナンバー通知カードのコピー収集保存

 従業員の皆さんから個人番号が表示された通知カードのコピーをいただき、ファイルしま

す。このファイルに個人番号の取扱記録を書ける用紙を付けて施錠できる場所に保管します。

 従業員の皆さんには、マイナンバーは社会保障、税金、災害対策だけでしか使わないこと

を話して通知カードのコピーを集めます。


 2.平成28年の扶養控除申告書は注意書きしてマイナンバー記入はなしでOK

 平成28年の扶養控除等申告書に、「個人番号については給与支払者に提供済み個人番号と

相違ありません。」という従業員の申し出と、「左記確認しました。」という給与支払者の確認

を余白に記入します。これで、個人番号は記入なしで済みますので、平成28年の扶養控除等

申告書も今までどおりの保管でかまいません。

 木村会計から、この2つの文章を印刷済の扶養控除等申告書をお渡しいたしますので、ご

利用ください。


 3.平成28年に入退社する人の雇用保険関連書類にはマイナンバー記入が必要

 平成28年1月から、被保険者資格取得届・資格喪失届などに個人番号を記載してハローワ

ークに届け出ることが必要です。


 4.平成28年分の源泉徴収票からマイナンバー記入が必要になります。

 平成28年分の源泉徴収票からマイナンバーの記載が必要になります。28年1月以降退社

される方の28年分の源泉徴収票にも必要です。個人番号の記載は税務署と市町村提出用だけに

必要です。給与などの支払いを受ける方に交付する源泉徴収票への個人番号の記載は、不要

です。


以下は、さらに詳しくお知りになりたい方のための解説です


1 扶養控除等申告書の個人番号記載について

                           税経管理第6部 部長 山内

 国税庁のインターネットサイトに、以下のようなQ&Aが掲載されました。

Q1-9?扶養控除等申告書の個人番号欄に「給与支払者に提供済みの個人番号と相違ない」旨

の記載をすることで、個人番号の記載に代えることはできますか。

(答)平成28年1月以後に提出する扶養控除等申告書には、従業員本人、控除対象配偶者及び控除

対象扶養親族等の個人番号を記載する必要がありますので、その記載内容が前年以前と異動がない

場合であっても、原則、その記載を省略することはできません。


 しかしながら、給与支払者と従業員との間での合意に基づき、従業員が扶養控除等申告書の余白

に「個人番号については給与支払者に提供済みの個人番号と相違ない」旨を記載した上で、給与支払

者において、既に提供を受けている従業員等の個人番号を確認し、確認した旨を扶養控除等申告書

に表示するのであれば、扶養控除等申告書の提出時に従業員等の個人番号の記載をしなくても差し

支えありません。


 なお、給与支払者において保有している個人番号と個人番号の記載が省略された者に係る個人番

号については、適切かつ容易に紐付けられるよう管理しておく必要があります。



1 この取扱いは、原則として税務署に提出されることなく給与支払者が保管することとされ

 ている扶養控除等申告書について、給与支払者の個人番号に係る安全管理措置への対応の

 負担軽減を図るために、個人番号の記載方法として認めるものであることから、個人番号

 以外の扶養控除等申告書に記載すべき項目については、前年と変更ない場合であっても、

 記載を省略することなく扶養控除等申告書に記載する必要があります。


2 「給与支払者に提供済みの個人番号と相違ない」旨が記載された申告書について、税務署

 長から提出を求められた場合には、給与支払者は扶養控除等申告書に従業員等の個人番号

 を付記して提出する必要があります。


3 この方法をとった場合には以下の点に留意が必要です。

(1)給与支払者において保有している従業員等の個人番号(従業員等の個人番号に異動が

  あった場合は異動前の個人番号を含む。)については、扶養控除等申告書の保存期間

  (7年間)は、廃棄又は削除することはできません。

(2)保有する個人番号については、個人番号関係事務に必要がなくなったとき及び個人番

  号を記載すべきであった扶養控除等申告書の保存年限を経過したときには、速やかに

  廃棄又は削除しなければなりません(廃棄が必要となってから廃棄作業を行うまでの

  期間については、毎年度末に廃棄を行う等、個人番号及び特定個人情報の保有に係る安

  全性及び事務の効率性等を勘案し、事業者において判断してください。)。

(3)給与所得の源泉徴収票(税務署、市町村提出用)には適切に個人番号を記載する必要があります。


                     −*−


 つまり、扶養控除等申告書内の個人番号は、既に別途個人番号を提供しているときには、扶

養控除等申告書にその内容と相違ない旨の一文を記載すれば、扶養控除等申告書へ個人番号の

記入を省略できると回答されています。


 扶養控除等申告書に個人番号を記入すると、管理が必要な書類となります。

扶養控除等申告書は毎年記入していただく必要がありますので、管理が必要な書類が年々増加

していくこととなります。

 上記特例を採用すると、個人番号の記載された書類を別途保管することで、各年分の扶養控

除等申告書の管理義務が生じません。従いまして、管理が必要な書類の肥大化を防ぐことがで

きます。


 具体的には、まず各従業員様から個人番号が表示された通知カードまたは個人番号カードの

コピーを1枚提供してもらいます。これに取扱記録簿を併せて施錠できる場所に保管します。

 扶養控除等申告書には、「個人番号については給与支払者に提供済み個人番号と相違あり

ません。
」という従業員様からの申し出と、「左(右)記確認しました。」という給与支払者の確

認分を余白に記入します。個人番号欄には個人番号を記入しません。

 これで、扶養控除等申告書は今までどおりの保管体制で問題ありません。



2 本人交付の源泉徴収票の個人番号記載について


                             税経管理第3部 部長 林


 マイナンバー制度の導入により、法定調書提出義務者・源泉徴収義務者の方は個人情報の漏

えいの防止などに配慮しなければならない場面が増えた事で今後は手間も増えます。この様な

漏えい防止の為の手間などを少しでも軽減する目的で細かい部分でいくつかの改正が行われ

ています。


改正の概要

 平成27年10月2日に所得税施行規則等の改正が行われ、行政手続における特定の個人を識

別するための番号の利用等に関する法律 「番号法」が改定されました。改正前は、支払を受け

る方に対して交付する源泉徴収票についても個人番号を記載して交付しなければならないこと

とされていました。


 この改正により、施行後の平成28年1月以降も、給与などの支払いを受ける方に交付する

源泉徴収票などへの個人番号の記載は不要です。

 平成28年途中退職者に交付する給与所得の源泉徴収票が一番早くこれに該当します。

 ただし、これはあくまでも給与などの支払を受ける方に交付するものであり、税務署、市町

村に提出する源泉徴収票などには記載が必要です。


 この改正により、従業員の皆さんには、番号法施行後も個人番号が記載されない旨をお伝え

して頂きたいと思います。

 上記の他、個人番号が不要となる税務関係の書類は下記の通りです。

    (給与などの支払を受ける方に交付するものに限ります。)

・給与所得の源泉徴収票・退職所得の源泉徴収票・公的年金等の源泉徴収票

・配当等とみなす金額に関する支払通知書・オープン型証券投資信託収益の分配の支払通知書・

上場株式配当等の支払に関する通知書・特定口座年間取引報告書・未成年者口座年間取引報告

書・特定割引債の償還金の支払通知書


 マイナンバーについてご不明の点は弊社担当にお尋ねください。



前のページへ  木村会計 The Limit of The Sky No.165 Page 2  次のページへ