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サ ロ ン


              水資源と水循環基本法


                          パッケージソフト部 SE 石田


 日本は豊富な水資源に恵まれています。


 そのため水資源に対しての関心も低く、「水は無料」に近い感覚を持っています。

 しかし、世界では「水は21世紀の石油」とまで言われていて、10年後には世界全

体で30億人が水不足に悩まれるとの予測まで出ています。

 また、水資源は農業にも使われるので、食糧不足問題とも直結するのです。

 そのため、外国資本が日本国内の水源地などの森林買収が全国で相次ぎ、地下水が奪

われるとの懸念が広がっています。

 現行法では地下水は土地所有者のものとなるからです。


 このような世界情勢を踏まえた上で、国内の水資源の循環を維持、回復するための法

律、「水循環基本法」が5月に成立しました。

 この法律は、水を「国民共有の貴重な財産」と位置づけ、政府や自治体が保全策を講

じる責務を明記しています。


 現状では河川と下水道が国土交通省、水源地が林野庁と、縦割りで管理されています。

 その所管官庁を一元化することで一体化した管理が期待でます。

 所管官庁が一体化した施策を進めることは、水の循環を守るうえで重要です。

 とはいえ、「水循環基本法」はあくまでも「水循環に関する施策について、その基本理

念を明らかにするとともに、これを総合的かつ一体的に推進」するために、国や地方公

共団体、事業者や個人の責務を定めた法案で、取り立てて水源地の森林買収を禁じるも

のではありません。

 今後の関連法案の成立や法運用に注視したいと思います。


 豊かな水は、豊かな国土や森の恵みです。わたしたち日本人がいつまでもおいしい水

を飲める国であり続けるためにも、この法律にはしっかり機能して欲しいものですね。




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