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税  務


          国税通則法改正


                                 所長 木村哲三


 前号では、取り急ぎ国税通則法改正で直ちに影響を受ける、税務調査の税務署からお客

様への直接連絡への対処法についてお知らせしました。今回は、国税通則法改正の趣旨と

改正ポイントを取り上げます。


 官尊民卑から官民平等へ

 税務調査は、特に納税者の権利侵害を最小限度とするために厳格な「法的安定性」及び

「予測可能性」が要求されます。今まで規定が曖昧であった税務調査の始期、質問検査権

行使の集約・一元化及び税務調査の終了が、国税通則法に法定化されました。これにより、

納税者の法的安定性や予測可能性が守られます。

 また、当初申告要件(最初の申告だけに認められ、修正申告や更正の請求は認められな

い)が設けられている措置及び当初申告額による控除額の制限がある措置について、更正

の請求を認める範囲の拡大がありました。行政手続きによる権利の制限への批判に答えた

ことになります。

 これらの改正で、税制の民主化に一歩近づきました。


 税務調査手続きの明確化

 税務調査を実地に行う場合には、納税義務者及び顧問税理士に対し、調査の開始日時、

場所、目的、対象税目、対象期間、対象帳簿書類その他物件等を事前に通知することが法

定されました。理由のある事前通知無しの調査は残りましたが、今までのように現金取引

が多いからといった理由だけで通知なしでの調査はできなくなりました。

 調査が終了したら、更正不要の場合には、問題が無い旨を税目、課税期間ごとに文書で

納税義務者に通知します。指導事項があっても更正すべき問題がなければ同様です。更正

すべき事項があり修正申告を勧奨した時は、これも文書で不服申し立てができなくなる旨

等を示さなくてはならなくなりました。今までのように、曖昧に調査が終わることはなく

なります。


 更正の請求期間の延長

 納税義務者からの申告書の是正は、申告期限後1年に対し、税務官庁は申告期限後3年と

官尊民卑の典型でした。今回どちらからも、申告書の是正は申告期限後5年と定められ、

平等になりました。


 更正の請求等範囲の拡大

 受取配当金の益金不算入や配偶者の相続税額の軽減等21項目で、当初申告要件が廃止

されました。青色申告特別控除等の16項目で、控除額の制限が見直されました。




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