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税 務

              
扶養控除の改正

                      税経管理第5部 部長 伊藤


 平成22年度の税制改正により、扶養控除の範囲の見直しが行われました。

子供手当の支給や高校授業料の実質無料化の実施によるためです。

 平成23年1月1日以後支払う給与から適用されますので、これに伴い、

同日以後の給与の源泉徴収事務にも影響します。


 まず、改めて、扶養控除について説明します。


1 制度の概要

 所得税法上の扶養親族となる人がいる場合には、一定の金額の所得控除が

受けられます。これを扶養控除といいます。


2 扶養親族

 扶養親族とは、その年の12月31日の現況で、次の4つの要件の全てに

当てはまる人をいいます。

(1) 配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族をいいます。)

又は都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長

から養護を委託された老人であること。

(2) 納税者と生計を一にしていること。

(3) 年間の合計所得金額が38万円以下であること。

(4) 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受

けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。


3 改正点

 扶養控除の金額が次のとおり改正されます。

(1) 一般の扶養親族のうち、年齢が16歳未満の人に対する扶養控除(38

万円)が廃止されました。

(2) 特定扶養親族のうち、年齢が16歳以上19歳未満の人に対する扶養控

除について、上乗せ部分(25万円)が廃止され、扶養控除の額が38万円

とされました。


(3) これらの改正に伴い、扶養親族が同居の特別障害者である場合において、

扶養控除の額に35万円を加算する措置に代えて、同居特別障害者である

扶養親族に対する障害者控除の額が40万円から75万円に引き上げられ

ました。


                     (単位:万円)

区   分 改正前 改正後 改正点
扶養控除 16歳未満 38 × (1)
16歳以上19歳未満 63 38 (2)
19歳以上23歳未満 63 63  
23歳以上70歳未満 38 38  
70歳以上 同居老親等以外 48 48  
同居老親等 58 58  
配偶者控除 70歳未満 38 38  
70歳以上 48 48  
障害者控除 特別障害者以外 27 27  
特別障害者 40 40  
同居特別障害者 40 75 (3)



4 源泉徴収事務

(1) 扶養控除等(異動)申告書への記入

@ 3(1)のとおり、16歳未満の親族については、扶養親族には含まれな

いことになります。

A 「住民税に関する事項」欄が新しく設けられ、様式が変更されます。

(2) 源泉徴収税額表

 上記の内容に基づいて、源泉徴収を行います。これまで、16歳未満の

親族を扶養親族としていた人は、源泉徴収税額が増加しますので、その分、

手取り額は減少することになります。


5 個人住民税

 所得税と同様に扶養控除の改正が行われます。適用は平成24年6月以

降に納付する個人住民税からになります。


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