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リスク管理


            ドライブレコーダー


                    税経管理第10部 部長 山内


 自動車を使う業務の場合、避けられないリスクのひとつに交通事故などの

道路上のトラブルがあります。

 しかし、いくら気をつけていても完全に防ぐことはできませんし、双方の

主張相違などにより裁判にまで発展してしまいますと、費やすコストは膨大

なものになります。


 リスクをゼロにすることは難しくても、少ない投資でこのリスクを減らす

ことができるのではと近年期待されているものに、表題の「ドライブレコー

ダー」の導入があります。

 ドライブレコーダーとは、「車に搭載するビデオカメラ」です。イベント

データレコーダーとも呼ばれます。車の前面ガラス部にカメラを設置し、走

行状態を簡単に記録できるようになっています。この画像をビデオテープな

どではなく、SDカードと呼ばれる小型記録媒体にデジタル記録し、「万が

一」の時には証拠資料として利用しようという訳です。

 一般的にはあまり聞き慣れないものですが、運送業など一部の業界では以

前から導入されている機器です。この業務用は高機能ゆえ高額でしたが、こ

こ数年で小型・軽量化された自家用車用の廉価版が普及し始めており、あま

り自動車を利用しないご商売でも購入し易い価格にまで下がってきています。

 前方の映像を広角録画することで、信号機の発光状態や一時停止の有無な

どその時の状態を記録することができ、機種によっては音声や現在位置・速

度まで記録されます。


 また、これを装着する事により営業車を運転するドライバーの安全運転に

対する意識の向上が期待できます。

 国土交通省ではこのドライブレコーダーの普及を推進しており、平成16年

度からドライブレコーダーを事業用自動車に搭載することによる事故抑止効

果やその活用方法について調査・分析を進めていますが、搭載と安全教育を

併せることで事故率の低減に効果有りとの結果が報告されています。


 しかしながら、問題点もあります。この画像はデジタル録画のため、裁判

上では確実に証拠として扱われると断言できないのが現状のようです(デー

タの改ざんが可能なため)。しかし、過去の判例では証拠として扱われた実

績はありますし、普及も進んできた最近では事例も増えてきています。

 また、最近切り替わりつつあるLED信号機も、発光タイミングと録画が同調

してしまうと点灯が記録されないことがあり、技術的な改善が望まれていま

す。


 現在販売しているドライブレコーダーは、画質・価格等さまざまですが、

録画方法は大きく分けて3種類あります。1つめは衝撃感知方式と呼ばれる

もので、事故などで衝撃を受けた時点から前後一定時間の映像を録画する方

式です。記録する映像の量は少なく済みますが、軽い衝撃または衝撃がない

事例では録画されないなどの難点があります。2つめは常時録画方式で、車

のエンジンを始動したときから停止まですべて録画する方式です。すべて録

画するわけですから撮りもれはありませんが、映像の量は膨大となりますの

で保存する記録媒体も大きなものが必要となります。さらに古い順に上書き

して更新することになりますので、肝心な映像が消えてしまうこともあり得

ます。3つめは前記2つを兼ね備えた方式です。常時録画をしながら、衝撃

を感知した時や手動で録画した時は記録媒体内の別の場所に隔離保存し、上

書で消えることを防ぎます。ただし、他方式よりも幾分割高のようです。


 SDカード等に保存されたデータは、簡単にドライブレコーダーから取り

外しが可能です。このデータはパソコン上で再生が容易にできますから、走

行記録・事故防止啓発目的以外にも、例えば取引先の場所を画像で確認する

など他の用途にも利用できそうです。


 価格が下がってきたとは言いましても、まだまだ搭載率も低く、性能・価

格共に発展途上に思えます。これから更に高性能・低価格になることも予想

されますし、2011〜2012年の実施を目指して自動車保険の優遇措置も検討さ

れ始めているようですので、今後の動向を見ながらご検討されてはいかがで

しょうか。



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