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税 務

                人材投資促進税制

     (教育訓練費の額が増加した場合の特別税額控除)

                   税経管理第6部 部長 伊藤 敬一


 この制度は、従業員等の教育訓練に積極的に取り組む企業・個人事業者に

ついて、教育訓練費の一定割合を法人税・所得税から税額控除するものです。

 産業競争力の基盤である産業人材を育成・強化する観点から、人材投資の

減少傾向を拡大に転じさせるとともに、企業における戦略的な人材育成への

取り組みを後押しする制度となっています。

 平成17年の税制改正で創設され、本紙面でも掲載しましたが、今回は詳細

を取り上げてみたいと思います。


1 基本制度

(1) 適用者は、青色申告書を提出する法人・個人事業者。

(2) 適用期間は、平成17年4月1日から平成20年3月31日までの間に開始され

 る事業年度。個人事業者は、平成18・19・20年分において適用されます。

(3) 教育訓練費用の額が、過去2事業年度の平均額(以下、比較教育訓練費)

 より増加した場合に、その増加額の25%が税額控除(減額)されます。控除

 額は税額の10%が上限になります。


2 中小企業の特例措置

 中小企業者(資本または出資の金額が1億円以下の法人等)は、上記の基

本制度に代えて、教育訓練費の総額の一定割合を税額控除する特例措置を選

択することができます。

(1) 教育訓練費増加割合

(適用年度の教育訓練費の額−比較教育訓練費の額)/比較教育訓練費の額

(2) 税額控除限度額

 教育訓練費増加割合に応じて、教育訓練費の総額に以下の割合を乗じた金

額になります。

教育訓練費増加割合が40%以上 一律20%
〃          40%未満 教育訓練費増加割合×0.5


3 教育訓練等の対象者

 この制度の適用にあたっては、自社の使用人または事業者のその事業に係

る使用人に対して行った教育訓練費が対象になります。以下の者に対して行

った教育訓練費は対象になりません。

(1) 自社の役員または個人事業主

(2) 自社の使用人兼務役員

(3) 役員または個人事業主の親族、その他特殊関係にある者

(4) 内定者等の入社予定者


4 対象となる教育訓練費

 この制度の対象となる教育訓練費は、使用人の職務に必要な技術または知

識を習得させ、または向上させるために支出する費用であって、以下のもの

をいいます。

(1) 自社で行う研修に係る費用

 @ 外部の講師・指導員を招聘する費用

 A 外部の施設、設備、器具等を賃借する費用

 B 教科書等の教材を購入または開発委託する費用

 C 外部に研修内容等の作成を委託する費用

(2) 他社が行う研修に係る費用

 @ 外部に委託して教育訓練等を行わせる費用

 A 外部が行う教育訓練等に参加させる費用


5 教育訓練費の額の証明

 この制度の適用を受けようとする場合は、確定申告書等に、控除を受ける

金額の計算に関する明細書および以下の事項を記載した書類(自由様式)の

添付が必要になります。

(1) 適用年度の教育訓練費の額

 @ 教育訓練等を行った年月日(期間)

 A 教育訓練等の内容

 B 教育訓練等に参加した使用人の氏名

 C その費用の支出年月日、金額、相手先の名称および所在地等

 D その他参考となるべき事項

(2) 比較教育訓練費の額

 上記(1)に同じ

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