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法 務
2006年4月『新会社法』施行
税経管理第3部 部長 林 克己
2005年6月、会社法が成立しました。2006年4月1日に施行されます。実は
これ、とても大きな出来事です。
「会社法」という法律は、これまでありませんでした。商法の「第2編 会社」や有
限会社法などを総称して、便宜的に「会社法」とみんなが呼んでいただけです。従いま
して、今回成立した「会社法」は、改正法ではなく新法、つまり新しく誕生した法律で
す。
ただし、この新法は、今までバラバラになっていた法律を再編成して一本化したとい
う面もあるので、改正という捉え方ができなくもありません。
会社に関する重要な決まりが分散しているのでは、不便ですし、今まで何度も改正が
行われてきましたが、今の時代に合った新しいモノにする必要性が生じてきたのです。
今回は、この新会社法の目玉3大ポイントに的を絞ってとりあげてみます。
有限会社の廃止!
・・・・・平成18年4月1日以降、新たに有限会社を作れなくなります
資本金は1円でいい!
・・・・・会社をつくるのに大金を用意する必要はありません
取締役は1人でいい!
・・・・・会社組織のスリム化が図れます
尚、新会社法がスタートしても、以前と同じ有限会社のまま続けることも可能です
し(特例有限会社)、株式会社に変更することも出来ます。現行の有限会社の多くは、
そのネームバリューから株式会社へ変更する事も予想されますが、その場合には、変
更にかかる手続きコスト、役員の任期規制や決算公告義務が発生するなど多少の問題
点もあります。
以下は、中小企業に関する改正項目一覧表です。
■中小企業に関する改正項目
項目 | 改正前 | 改正後 |
最低資本金 | 【株】1000万円以上 【有】300万円以上 |
制限なし |
配当規制 | 純資産の額マイナス資本の額を限度 | 純資産の額が300万未満の場合は配当不可 |
会社の機関設計 | 通常 【株】株主総会+取締役会+監査役 【有】社員総会+取締役会 社員総会+取締役会+監査役 |
株主総会と取締役は必ず設置(その他の機関は法令、ま たは定款により任意に設置) 【譲】もっともシンプルな機関を定めた場合 株主総会+取締役1人 |
株主総会で決定でき る事項 |
【株】法令や定款で定められた事項 【有】全ての事項 |
取締役会を設置しない会社 株主総会の権限を強め、全ての事項を決定出来るよう、 規制を緩和 |
株主総会の開催場所 | 原則、本店所在地またはその隣接地 | 規制をなくし、会社の任意とする |
取締役の数と任期 | 【株】3人以上、任期2年 【有】1人以上任期なし |
取締役会を設置しない会社は1人以上。取締役会を設置 した会社は3人以上、任期2年 【譲】1人以上、任期は最長10年まで延ばせる |
監査役の数と任期 | 【株】1人以上、任期4年 【有】設置しなくてもよい。 設置した場合任期なし |
原則 1人以上、任期4年 【譲】設置しなくてもよい。設置した場合、任期は最長 10年まで延ばせる |
監査役の権限 | 【株】小会社は監査役のみ 小会社以外は業務監査と会計 監査 【有】会計監査のみ |
業務監査と会計監査 【譲】定款により会計監査のみに限定可能。その代わり、 株主の権限を強化 |
会計参与 | (新設) | 全ての会社に、任意で設置が可能。 資格・・・公認会計士(監査法人)、税理士(税理士法人) のみに限る。 職務・・・取締役、執行役と共同して計算書類を作成・ 保存、株主総会における説明義務あり。 登記・・・設置した旨、会計参与名は登記事項 |
休眠会社の整理 | 整理の対象となる期間・・・5年 | 整理の対象となる期間・・・12年 |
(注)表中の【譲】は株式譲渡制限会社(閉鎖会社)を意味しています。
株式会社において株式は自由に売り買い出来るのが原則です。しかし親類、仲間内で経営している会社の場合、経営上
好ましくない人物が株主として介入してくるのは困ります。そこで定款で、株式を譲渡する場合には、会社の承認を必要
とする旨を定めることができます。このような定款を設けている会社を譲渡制限会社(閉鎖会社)といいます。
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