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3・4  − これからどうなる 地方の商店・地場産業・・・「衣料品店」 −

March・April 一部上場企業は、この3月期に大幅な利益を出す予想の所も多いです。

いわゆる勝ち組企業は、この10年の低迷を打破し、V字回復をしました。

 目を地方に転ずると、収益の回復している業種は一部です。衣食住関連のお店に

ついては、衣食はどこも厳しい状況です。特に衣料は、ナショナルブランドの製販

一体の店や廉価量販店が躍進し、地域の衣料品店は厳しい対応を迫られています。


 経済産業省の経済統計を見ると、業種別商業販売額前年比の衣服及び身の回り品

の卸売り額は、平成14年は15兆2060億円、15年は14兆7780億円、

16年は14兆2360億円と前年比2.8%、3.7%と低減しています。衣服

及び身の回り品の小売り額(織物小売り含む)も、平成14年は10兆2930億

円、15年は9兆7140億円、16年は9兆5860億円と前年比5.6%、

1.3%と同じく低下しています。業界自体、売上減で苦しい状況です。


 躍進中のユニクロを経営するファーストリテイリングの売上高は、平成14年は

3441億円、15年は3097億円、16年は3399億円と10.2%減の後、

9.7%増と盛り返しています。実用衣料で顧客の賑わう、しまむらの売上高は、

平成14年は2545億円、15年は2770億円、16年は3005億円と9%、

8.3%増と伸び続けています。また、ベビー・子供衣料に特化した西松屋は、売

上高は、平成14年は494億円、15年は637億円、16年は778億円と

28%、22%増と大幅に伸び続けています。

 衣料業界の売上が低下している中で、売上を伸ばしている同業の会社があるわけ

です。これらの店は、企画製販一体、大量買い付けによる低額良品、トレーニング

された接客対応、購入し易い店舗設計及び立地といった魅力を持っています。


 こういった店舗と同じ客層をターゲットにしている地元のお店は、業界の売上減

少以上の売上減が起こっているものと予想されます。衣料品の通信販売やネット販

売もライバルです。同じ土俵での勝負は大変です。

 衣類は必需品であり、贅沢品にもなります。無しで済ませるわけにはいかない財

なので、なくなることはありません。素材、色、柄、サイズ、品質、デザインで商

品が決まってきます。お客の商品購入のキーは、着心地、デザイン、価格でしょう

か。この3つの比重により対象顧客が変わってきます。量販店は、顧客層の厚い普

及品、実用衣料を扱っています。但し、それらの店も、高額であったフリースの価

格破壊や、カシミヤの廉価販売で新たな顧客を獲得しました。高級素材でも対抗は

難しくなっています。


 まずは、顧客分析。今購入されているお客様は、なぜ来てくれるのか。来なくな

ったお客様はどうしてなのか。多くの地元顧客の気持ちを引きつけるセンスを持つ

店員、店主。ユニクロ製品では満足しない客層の嗜好と購入パターン。ターゲット

とするお客様の来店から購入、店を出るまでの全過程で顧客満足度を高める、商品、

接客、店舗空間。健康、高齢化社会などの新たな切り口。お客様の望むコミュニケ

ーションスタイルとお客様ごとのオリジナル提案。対象マーケットの大きさを考え

た適切な投資。

 これらの検討に、地元衣料品店の活路を開くヒントがありそうです。 2005.2.17

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