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The Limit
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出向者が出向先法人において役員になっている場合において、出向先法人
が支出した当該役員に係る給与負担金の額が報酬と賞与のいずれかに該当す
るかは、次の場合に応じてそれぞれ次によります。
@ 当該給与負担金の額が出向元法人が当該出向者に給与を支給する都度そ
の支給額の範囲内で支出されるものである場合は出向元法人の支給する
給与が定期の給与か臨時の給与かの別によります。
A 当該給与負担金の額が一定期間内に出向元法人が当該出向者に支給する
給与の合計額を基礎としてその範囲内で毎月又は一括して支出されるも
のである場合は当該負担金の額のうち出向元法人が当該期間内に当該出
向者に支給した定期の給与の額に達するまでの金額は報酬とし、これを
超える部分の金額は賞与とします。(法基通9-2-34)
また出向元法人が出向先法人との給与較差を補てんするため出向者に対し
て支給した給与の額(出向先法人を経て支給した金額を含む。)は、当該出
向元法人の損金の額に算入します。(法基通9-2-35)紙面の都合上、ここでは
取りあげませんが、法基通9-2-36から9-2-40に退職給与規定もあります。
(2)転籍に伴う税務問題
転籍の場合には、一般的には出向のような税務問題は生じません。しかし、
リストラによる転籍などの場合にあっては、一定年齢まで給与水準を保証す
るようなこともあります。この場合には、出向と同じような問題が生じてき
ます。以下には、転籍特有の問題を取り上げてみたいと思います。
また、転籍特有の問題として、退職給与の負担を転籍前の会社と転籍後の
会社でどのように分担するかといった問題があります。
労働協約等の問題から、転籍前の会社において退職金を支給せず、転籍者
が転籍先を退職したときにそれまでの期間を通算して退職金を支給するとい
う例がかなりみられます。この場合、それぞれの法人がその勤務時間に応じ
た分を負担している場合には、たとえそれがどちらか一方から支給されたも
のであったとしても、それぞれの損金として計上することが認められていま
す。なお、転籍時に、転籍前の会社が転籍後の法人に対し、自社に係る退職
給与相当額を支出することもありますが、その場合には、その負担額が合理
的なものであれば、転籍前の会社では損金として認められます。
他方、これを受け入れた転籍後の会社ではその分を益金として計上するこ
とになります。これに対し、転籍後の会社が転籍者の退職金を転籍前の分も
通算したところで支給しているにもかかわらず、転籍前の会社が何の負担も
していない場合には、それについて合理的な理由がない限り、原則として転
籍前の法人に寄附金を支出したものとして取り扱われることになりますので
注意して下さい。(法基通9-2-40)
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