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The Limit
of The Sky No.74 Page 2
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9・10 −大東亜戦争の意味―
September・October 日本史、特に戦中戦後の歴史を見直そうという気運が高まって
います。西尾幹二著「国民の歴史」(産経新聞社)が先鞭を付けました。同著に
はすぐに「徹底批判国民の歴史」(大月書店)のカウンターが入りました。
10年以上前になりますが、トルコを旅したとき、トルコにはトーゴーとい
う
名前が多いと現地の方に聞きました。ロシアのバルチック艦隊を日本海海戦で
破
った東郷元帥にあやかってとのこと。有色人種が白人の大艦隊を破ったことに
多
くの非白人が歓喜し、希望と自信を持ったとのことでした。
大東亜戦争においても、白色人種の国に対し、黄色人種の小国日本が最初は
破
竹の勢いで快進撃したことに多くの有色人種の国は自信を取り戻したと聞きま
す。
エジプトの故ナセル大統領やマレーシアのマハティール首相も、大東亜戦争
の
日本の快進撃により、有色人種でもやれるんだという自信を持ったと言ってい
ま
す。
こういった発言を聞くまで、太平洋戦争は中国大陸や朝鮮半島への侵略行為
を
中心に中学、高校の日本史、世界史では教えられており、私も悪いことをたく
さ
ん日本はやってきたんだなとだけ思っていました。
20世紀は植民地競争の時代であり、新興国日本もいち早く西洋化を成し遂
げ
競争に突入していったわけです。イギリスを筆頭にドイツ、フランス、ロシア、
アメリカ、日本が競争でアジア諸国(西欧はアフリカやアメリカ大陸に対しても)
に侵略行為を働いていたわけです。他国に侵略行為を働いた国は全て悪い。それ
は当然です。ただし、日本の場合はアジアの西洋からの開放を旗印に掲げ、国際
連盟で人種差別撤廃の動議を提出した側面も見逃せません。
戦後アジアの国が旧主国と戦い多数独立しました。その独立への希望の一因
に
日本の西洋への反旗があったとはいえないでしょうか。インド建国の父の故ガ
ン
ジーさんも日本の影響に言及しています。
55年前の8月に投下された原爆については、私は明らかにホロコーストだ
と
思います。非戦闘員が2つの原爆で35万人近く亡くなっているのです。これ
が
全く戦争犯罪として裁かれていません。今日まで、アメリカ大統領の謝罪もあ
り
ません。
その辺の所はそのままで、安保条約でアメリカに守ってもらっている日本と
い
う国は正常ではないように感じます。自分の国を他国に守ってもらうというい
び
つな状況が、この国の病巣の根元にあるように思います。
大東亜戦争について、いろいろな角度からの活発な議論に基づく多面的な記
述
が日本史の教科書には必要かと思います。
その際、「イギリスは世界に文明を伝播した」と言い放ったサッチャー元英国
首相の、自国の歴史をプラス面でとらえる姿勢を見習いたいものです。東インド
会社による搾取や、中国でのアヘン戦争の謀略のイギリスの歴史を忘れたわけで
はないでしょう。 S 2000.8.16