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税 務
再確認・相続税改正
税経管理第2部 部長 並木
相続税法が、平成27年1月1日以後に開始する相続から大きく変わります。この
改正の中では、基礎控除額引下げが一番影響力が大きく、現行法での相続税の申告
割合は4%(100人亡くなると4人)程度となっていますが、この改正により、6%程
度に上昇すると言われています。
-改正のポイントは5つ-
@基礎控除の引下げ
A相続税率の見直し
B未成年者控除及び障害者控除の引上げ
C特定居住用宅地等に係る特例の対象面積の拡充
D特定居住用宅地と特定事業用宅地への小規模宅地等の特例の適用(完全併用)
内容を見ていきましょう。
@遺産にかかる基礎控除額の引下げ
改正後は、基礎控除額が40%減ることになります。基礎控除が大きく減額される
ことにより相続税がかかるケースが増えることになります。
項目 | 現行 | H27.1.1以降 |
固定額 | 5000万円 | 3000万円 |
変動額-法定相続人1人あたり | 1000万円 | 600万円 |
法定相続人数による基礎控除額の変化
法定相続人数 | 現行 | H27.1.1以降 | 減額金額 | 減額率 |
1人 | 6000万円 | 3600万円 | △2400万円 | △40% |
2人 | 7000万円 | 4200万円 | △2800万円 | △40% |
3人 | 8000万円 | 4800万円 | △3200万円 | △40% |
4人 | 9000万円 | 5400万円 | △3600万円 | △40% |
5人 | 10000万円 | 6000万円 | △4000万円 | △40% |
6人 | 11000万円 | 6600万円 | △4400万円 | △40% |
A相続税率の見直し
課税段階が増え、相続人が取得する2億円超の課税財産に関して増税となります。
基礎控除額の引下げにより課税財産も増加しますので、資産家の方は、課税財産自
体の増加と税率の引き上げによる二重の負担増になることが予測されます。
各相続人の取得財産金額 | 現行 | H27.1.1以降 | ||
税率 | 控除額 | 税率 | 控除額 | |
1000万円以下 | 10% | - | 10% | - |
1000万超〜3000万円以下 | 15% | 50万円 | 15% | 50万円 |
3000万超〜5000万円以下 | 20% | 200万円 | 20% | 200万円 |
5000万超〜1億円以下 | 30% | 700万円 | 30% | 700万円 |
1億円超〜2億円以下 | 40% | 1700万円 | 40% | 1700万円 |
2億円超〜3億円以下 | 45% | 2700万円 | ||
3億円超〜6億円以下 | 50% | 4700万円 | 50% | 4200万円 |
6億円超 | 55% | 7200万円 |
*課税財産は、基礎控除後
B未成年者控除及び障害者控除の引上げ
改正後は、未成年者と障害者の税額控除が増額されます。
区分 | 現行 | H27.1.1以降 |
未成年者控除 | 20歳まで1年6万円 | 20歳まで1年10万円 |
障害者控除 | 85歳まで1年6万円 (特別障害者12万円) |
85歳まで1年10万円 (特別障害者20万円) |
C特定居住用宅地等に係る特例の対象面積の拡充
居住用宅地の面積のみ330uまで拡充されます。
宅地等 | H22.4.1以降 | H27.1.1以降 | ||
上限面積 | 減額割合 | 上限面積 | 減額割合 | |
特定居住用 | 240u | 80% | 330u | 80% |
事業用 | 400u | 80% | 400u | 80% |
不動産貸付 | 200u | 50% | 200u | 50% |
*事業用宅地、不動産貸付用宅地については変更なし
D特定居住用宅地と特定事業用宅地への小規模宅地等の特例の適用(完全併用)
特定居住用宅地と特定事業用宅の両方を適用して宅地の評価減をする場合、現行
法では調整計算がありそれぞれの上限面積を使うことができませんでしたが、改正
後は、各上限面積を使うことができます。組み合わせによっては最大730uまで評
価減を使うことができます。
宅地等 | H22.4.1以降 | H27.1.1以降 |
居住用 330uまで | 最大400uまで適用可能 (特例適用に制限あり) |
最大730uまで適用可能 (特例併用に制限なし) |
事業用 400uまで | ||
不動産貸付 200uまで |
平成27年1月1日以降に発生する相続については、
増税方向として、
現行法では、基礎控除額以下の遺産総額により相続税がかからなかったケースが、
@控除額引下げにより相続税が発生してしまうケースや税額が増加するケース
A相続税率見直しにより相続税額が増加するケース
減税方向として、
B未成年者控除及び障害者控除の引上げ
C特定居住用宅地等に係る特例の対象面積の拡充
D特定居住用宅地と特定事業用宅地への小規模宅地等の特例の適用(完全併用)
により税額が減少するケースが考えられます。
相続税については、事前の対策により節税効果が出やすいこともあり、早目のご
相談による施策をお勧めします。相続についての不安やご不明な点がございました
ら、お気軽にお問い合わせください。
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