第5章 子や孫の結婚を祝い応援する親や祖父母は、税金の面でも優遇さ れます。結婚式の費用を出してあげる際は、贈与税が課税されません。 新居の所帯道具を買ってあげたり、購入資金を面倒みたりすること も同様に非課税です。親や祖父母が渡すご祝儀についても、一般相 場からかけ離れていない限り、税務署から野暮な納税催促のお呼び はかからないはずです。ウェディングは子や孫を支援する贈与の好 機でもあります。 6 愛する子の結婚式は贈与の好機 結婚式費用などでの贈与 子が親から、結婚後の生活を営むために家具・寝具・家電製品等、 通常の日常生活に必要な物品の贈与を受けた場合は、贈与税の課税対 象となりません。それらの購入費用に充てるために金銭の贈与を受け、 その全額を物品の購入費用に充てた場合も非課税扱いとされます。 ただし、子の側がもらった金銭を生活費や家具・寝具・家電製品等 の購入に充てず、それを預金したり、その資金で株や不動産を購入し た場合は、贈与税の課税対象となります。子の側も親の気持ちをくむ ことが大切です。 結婚・子育て支援の新制度もチェック 結婚関連費用に対する親や祖父母の支援に対して、2015年4月に 創設された「結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度」が利用でき ます。 非課税限度額は1000万円(結婚に関して支払う金銭は300万 円まで)で、20歳以上50歳未満の方が支援される対象です。 子育て 資金(不妊治療・妊婦健診に要する費用・分娩費等、子の医療費、幼 稚園・保育所等の保育料など)もこの新制度が使えます。 「結婚・子育 て資金の一括贈与の非課税制度」利用中に支援した親や祖父母が死 亡した場合には、その口座に残っている資金は相続財産に加えられ ます。 その点、残金が相続財産にならない教育資金一括贈与とは違 います。相続税の2割加算の対象にはなりません。 通常の結婚や子育て関連費用の贈与に関しては、既存の制度で十 分対応できると考えられます。 税務のプロが語る 「知っ得話」 〈所帯を持つ際の親から子への金品の贈与〉 〈親や祖父母からの結婚資金の贈与〉 〈子の結婚式や披露宴の費用の贈与 〉 〈ご祝儀について〉 贈与税は、原則として、贈与を受けたすべての財産に対して、もら った人にかかります。年間(暦年)110万円までが基礎控除の枠です。 しかし、父母、祖父母などから、生活費や教育費に充てるためにした 贈与で、通常必要と認められるものは、贈与税が課されないことにな っています。このような観点から、親から子供への結婚関連費用を贈 与しても、通常必要と認められるものは、贈与税の課税対象にならな いとされます。 結婚式・披露宴の費用を新郎新婦と両家の親の誰がどれくらい負担 するかは、その結婚式・披露宴の内容や人数、地域の慣習などによっ て様々です。それぞれの事情に応じて、本来費用を負担すべき者が、 その費用を分担している場合には、そもそも贈与には当たらないとい うのが社会通念です。このため贈与税の課税対象となりません。 個人から受ける結婚祝等の金品は、社交上の必要によるもので社会 通念上相当と認められるものについては、贈与税の課税対象となりま せん。つまり、ご祝儀についても、一般的な相場の範囲であれば、贈 与税の課税対象となりません。友人、知人だけでなく親や祖父母から のご祝儀も同様です。 5