〈対策 1〉小規模宅地の特例を利用
小規模宅地の評価減を利用した場合の相続税額
小規模宅地特例が使えないと税額は、370万円で、差額は314万円です。
建物固定資産税評価額 600万円 + 土地評価額 2800万円 × 20%
(特例)+ 現金3000万円 = 4160万円
→
遺産の相続税評価額
土地評価額には居住用資産の特例
(1- 80%)
適用
4160 万円 - 基礎控除 3600万円 = 560万円
→
課税対象額
560万円 × 10%(税率)= 56万円
→
相続税額
小規模宅地の特例(
第 1 章 ー 2
参照)により相続税の軽減を受けます。
このケースでは、同居していない親族ですので、いくつか要件があ
ります。相続開始前 3 年以内にAさんとAさんの奥さんが自宅を持っ
てないことや、今回相続した宅地を相続税の申告期限まで所有してい
ること等が要件になります。
税務のプロとして、2 つの対策の組み合わせを提案しました。ラッ
キーなケースで、空き家特例と小規模宅地特例が使えるからです。
小規模宅地の特例を使い相続税を低く抑える
対策 1
と、申告期限後、
空き家特例を利用して相続した土地を売却する
対策 2
です。
このケースは下記の特例適用要件を満たしていました。また解体費
の方が耐震改造するよりも低額なので、父親の自宅を壊して更地とし
て売却することにします。解体費は 500 万円と見積もられました。
2016年度改正の空き家特例で、2016年4月以降に相続した空き家を、
耐震化して建物だけ、または土地付きで売るか、建物を壊して更地にして
売ることで譲渡所得から 3000 万円が控除できることとなりました。
ただしこの特例を受けるには、以下の要件を満たさなければなりません。
特別控除ない時、長期譲渡所得2500万円の税額は約508万円です。
譲渡税の計算
(土地売却額は4000万円、解体費は500万円と設定)
① 2016 年 4月1日から
2023
年12月31日までの間に売却
(ただし、相続の日から3年たった年の12月31日までに売却)
②
相続開始直前に亡くなった被相続人が同居人なしで住んでいたこと
③1981年(昭和56年)5月31日以前に建築された家屋(区分所有
建物ではない)
④相続の時から売却の時までまったく利用していない(相続の時
から売却の時まで、建物も土地も、事業、貸し付け、居住で使わ
れていない)
⑤土地売却額1億円以下(建物と合わせた売却額でも1億円以下)
4000万円-500万円(建物除却費)-1000万円(父の土地購入額)
= 2500万円
→ 譲渡所得
この額は空き家特例の特別控除額3000万円以内 →
譲渡税はなし
〈対策 2〉空き家の実家を
2023
年 12 月 31 日までに売却する
「空き家特例」で売却にも3000万円控除、ただし耐震化か更地が条件
2019年度の税制改正で2019年4月1日から、亡くなった親御さんの生
活拠点が老人ホームに移っていた場合でも、住んでいる自宅が空き家な
ら、原則として空き家特例が使えるようになりました。小規模宅地の特例
も、亡くなった人が老人ホームにいても使えるケースがあります。
税務のプロが語る
「知っ得話」
空き家特例は老人ホーム入居
でも
使え
る
第1章
〈ケース〉
都内の賃貸アパートに住むAさんは先日、父を亡くしま
した。母はすでに他界し、相続人は一人息子のAさんだけです。遺
産は土地 100 坪と築 40 年の木造の家、それに預金 3000 万円でした。
Aさんが生まれ育った実家ですが、通勤の便を考えると空き家にせ
ざるを得ません。さてどうしたらいいか…。相続税の申告も含めて
税務のプロに急ぎ対応策を尋ねてみました。
空き家となる実家の税負担軽減策
空き家の相続対策
3
1
こ
れ
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