株式会社を設立する場合には、相続税や贈与税だけではなく、所得税、 法人税、消費税など様々な税金について考慮することが必要となりま す。メリットも多い分必要な知識も多くなります。設立に向けて信頼 できる専門家に相談することが望ましいです。 ●設立費用や手続きの手間がかかる ●税務申告等の事務負担が増える ●赤字でも払わなくてはならない税金(均等割り)が発生する ●社会保険加入問題が発生する ●個人から会社に不動産を動かす時、登録免許税と登記費用、 不動産取得税、建物の場合はさらに消費税がかかる 会社なら不動産の名義変更が不要に 不動産を個人で所有していた場合、相続のたびに名義変更をする こととなります。 相続による取得の場合、登録免許税は税率1000分 の4と優遇されていますが、司法書士等に払う登記費用がかかりま す。 不動産の所有者を会社に変えておけば、会社が続く限り名義変 更が不要となります。 税務のプロが語る 「知っ得話」 〈 相続に関わる会社設立のメリット〉 〈 会社設立のデメリット〉 〈専門家への相談が肝心〉多様な種類の税を相手に総合判断 ●相続対策として会社を通しての財産の移転が可能 ― 株式や出資 金は取引相場のない株式として相続税の課税対象となります。 株式の評価などを通じての相続税対策が考えられます。 ●個人での不動産所得や事業所得より、法人での給与所得の方が得 ●親族を役員とすることで、役員報酬や退職金の支給が可能 ●不動産や株式の売却損の損益通算ができる ●赤字を長期間繰り越せる( 9年間、2018年4月1日以後は10年間 ●会社の不動産は 、相続時に名義変更不要で登録免許税等がかか らない 〈株式会社の設立の策とは〉不動産の資産を自社株式に替える 〈不動産事業の収入はどうなる〉給与に切り替え所得控除活用 不動産の賃貸などを個人的に営んでいる場合、株式会社を設立して不 動産に関わる事業をそっくり会社に売却するというものです。売却にあ たっては時価を基本とし、取得時から値上がりしていた際の譲渡益には 所得税が課せられます。 売却代金相当額を個人から会社への出資金にして会社を設立すれば、 その資金が会社側の不動産の購入代金になります。そのお金で会社が購 入した自分の不動産などの資産は、株式という資産に形が変わります。 設立した自分自身の立場も個人資産家からオーナー経営者に変わるわけ です。 自分の収入は会社から給与をとる形に替えます。収益性の高い物件 からの収入には大きな所得税がかかっているはずです。会社からもら う形にすれば、給与収入には給与所得控除が使えるため所得の圧縮が 可能となります。 第4章 多数の不動産を所有し、個人で不動産賃貸業を営むような資産家 の方に、ここでとっておきの相続対策を紹介しましょう。親から子 へといった個人間での大きな資産の移転では通常、相続、贈与、売 買といった方法をとりますが、いずれにせよかなりの税金が課せら れます。ならば株式会社を設立するという方法を検討してみてはい かがでしょうか。専門的なノウハウが必要ですが、大きな効果が得 られることもあります。 7 株式会社の設立というウルトラC技 個人事業の相続対策 4