仏壇に置く金のお鈴や仏像などは高額であっても、原則、相続税はかか りません。しかし、所有目的が社会通念に照らし合わせて投資や美術品コ レクションなどとみなされた際は、課税対象になります。 〈仏壇に置かれていた金ピカの仏像〉原則、相続税の対象外 純金仏具での節税策は慎重に 相続対策として、金の仏像・仏具の購入を薦めるパンフレットな どを見かけるようになりました。 確かに、日常礼拝の対象であれば 非課税財産になると考えても差し支えないでしょう。 しかし、節税しても結果として得になるのかどうかは、慎重に検討 することが肝要です。 たとえば後で相続人側が純金の仏具を節税 に生かすことを考えると、貴金属店で売却することが想定されま す。 換金しようとした時には、単純に「金」としての時価で買い取ら れます。 純金の仏具や仏像には工芸品としての価値が付加される ために、純金のインゴットベースの価格に比べて1.5倍~数倍の値 段になっています。 相続税の節税額に比べ購入額が売却額より大 きい場合は、結果として得にならないこともあります。 また、故人が後払い(代金未払い)で買っていた仏像の負債は、 非課税財産購入のための借金(未払金)なので債務控除が認めら れません。 税務のプロが語る 「知っ得話」 第3章 日本の相続税は重いとされますが、お葬式にかかった費用は相続 財産から差し引けます。お取り込み中のところ大変ですが、領収書 などをとっておくことが大切です。お墓や仏具なども、通常は課税 されません。ただし、墓石や仏具などは、あくまでも亡くなった方 が生前に購入され、支払い済みであることが必要です。 葬式費用控除、墓や仏具は課税無し 葬祭に関わる税 14 〈葬式に関する費用の控除〉支払いの記録を作るのが肝心 〈香典返しや法事は控除できない〉 〈生きている間にお墓を用意しておく〉通常、相続税がかからない 香典返しのためにかかった費用、初七日や法事などのためにかかっ た費用は、葬式費用とは認められません。 墓地、墓石や仏壇、仏具などは、生きているうちにあらかじめ購入 して、支払い済みであるならば、相続税がかからない財産となりま す。ただし、急いで霊園と契約して代金が未払いとなっている際は、 後から差し引くことはできません。一方で、亡くなった後に墓地を買 ってお墓を建てても、控除はできません。後々のことを考えれば、自 分のお墓のことを準備しておくのが賢明です。 また、高価な仏具をローンなどで購入していた際、ローンの残金部 分は債務として差し引けませんので注意してください。 お葬式にかかった費用や、その際の出前などの飲食代等は相続財産 から控除できます。受け取った領収書は、まとめて保管しておくこと により控除をする際の証拠となります。 お寺へのお布施や近隣にお手伝いしてもらったお礼等、領収書を受 け取ることができない場合は、メモを残すようにします。支払い 日、支払い先、目的(お車代等)、支払い金額が分かるようにしてお きましょう。 中小企業の経営者などの葬儀に関しては社葬として執り行うと、法 人の経費となります。ご香典は無税で家族にわたります。 3