同性カップルの相続は「遺贈」で 2015年4月1日、渋谷区で『男女平等及び多様性を尊重する社会 を推進する条例』が施行され、結婚に準じる関係として「パートナー シップ証明書」の取得が可能となりました。 いわゆる「LGBT」(女性 同性愛者、男性同性愛者、両性愛者、性同一性障害者)らの人権を 認める動きが加速しています。 では、パートナーシップ証明書を取得している2人のうちの片方 が亡くなった場合の相続はどうなるのでしょう。 現在のところ、民法 ではパートナーシップ証明書を持っている者の記載はありません。 財産を相続させるには原則的に「遺贈」の手続きが必要です。 税務のプロが語る 「知っ得話」 第3章 〈ケース〉 会社の経営が好調を続ける中、社長だった父が突然亡く なりました。その葬儀で、大きなお腹の見知らぬ若い女性が参列し、 焼香しました。葬儀後にその女性が私どものところに来て「お腹の 子は、社長が亡くなる前に非嫡出子として認知していただきました」 と語ったのです。突然のことにおろおろしました。相続の協議など、 どうなるのでしょうか。 愛人、認知した子などの相続権 愛人、非嫡出子、同性カップルなどの相続 13 〈非嫡出子は同等の相続人となる〉 〈愛人は相続人ではない〉 民法には相続に関して「愛人」や「妾」「内縁関係」についての記載 がないので、婚姻関係にある者以外の愛人等は相続人にはなりませ ん。たとえば複数のお妾さんがいても相続人には含まれないわけで す。相続人とする場合は遺言でその旨を明記することが原則的に求め られます。 上記のケースでは遺言がないため、認知した子のみが正妻の子と同 等の相続人となります。たとえ遺産分割協議で揉めても、「お腹の 子」が産まれれば、その子には法定相続分を受け取る権利があります。 第3章 ー12の〈法定相続人の範囲と順位〉 で示したように、非嫡出 子(婚姻関係外の子)であっても、認知されれば亡くなった方の子であ ることに変わりはありませんから、「被相続人の子」に該当し、第1順 位の相続人となります。 しかも、2013年9月4日の最高裁判所の決定を受け、非嫡出子と嫡出 子の相続分は現在同等です。つまり愛人の子も本妻の子も、相続では 同等に扱われます。以前は非嫡出子の相続分は嫡出子の半分とされて いました。また、出生前でも 「胎児認知」 という形で、母親の承諾があ れば父側が認知できます。 3